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講演

凡例

  1. 講演タイトル,
    研究集会名,
    講演場所, 講演日時.
    アブストラクト.

今後の予定

  1. 原 隆: GLn の保型表現の Betti–Whittaker 周期について,
    野々市数論研究会,
    金沢工業大学, 2024年 8月 22日.

過去の記録

最新のものから並べております.

2024年

  1. 原 隆: CM体の p 進アルティン L 関数について,
    新潟代数セミナー,
    新潟大学, 2024年 5月 31日.
    アブストラクト: 1983年にラルフ・グリーンバーグは,様々な総実代数体の p 進ヘッケ L 関数をブラウアー誘導を用いて適切に〈貼り合わせる〉ことで,総実代数体のアルティン L 関数の臨界値を補間する pL 関数を構成した.本講演では,CM体の p 進アルティン L 関数を,やはり p 進ヘッケ L 関数を〈貼り合わせる〉ことで構成する.講演では,特にグリーンバーグの構成には現れなかったCM体ならではの困難について,時間の許す限り解説したい [落合理 (東京工業大学) との共同研究].
  2. 原 隆: 測度値モジュラー記号と不定積分の明示表記,
    信州整数論小研究集会,
    信州大学教育学部, 2024年 3月 30日
    アブストラクト: Talk 6 で導入した不定積分は,ホモロジー代数的に定義されるものであり,具体的な計算にはまったく適さない.本講演では,[BD07] で導入された測度値モジュラー記号 (本質的に Greenberg–Stevens の仕事 [GS93] において2変数 pL 関数を構成する際に導入された Λ 進モジュラー記号) を用いて,不定積分を明示的に記述する.
  3. 原 隆: (加法的・乗法的) 不定積分の定義と性質,
    信州整数論小研究集会,
    信州大学教育学部, 2024年 3月 29日
    アブストラクト: 大下氏の講演で紹介された,モジュラー記号値コホモロジー類 logp (cf,τ) と ordp (cf,τ) の比が L 不変量 logp(qE) / ordp(qE) と一致するという定理 [Dar01, Theorem 4] の帰結として,熱田氏の講演で導入された2重積分の (p 進変数 τ に関する) 不定積分を定義する.まず,p 進対数の分枝を適切に取ることにより,加法的な不定積分をホモロジー代数的に定義し,その基本性質を紹介する.特に,これらの性質により不定積分が一意的に特徴付けられることを説明する.続いて,Cp× の適切な格子 Λp をとることにより,Cp× / Λp-値の関数として乗法的な不定積分が定義されることを解説する.乗法的不定積分は,次の佐久川氏の講演において,Stark–Heegner 点を構成する際に用いられる.
  4. 原 隆: 非可換岩澤理論について,
    多分野交流会,
    東京都立大学, 2024年 3月 25日.

2023年

  1. 原 隆: On p-adic Artin L-functions for CM fields,
    Number Theory in Tokyo,
    東京工業大学 (ハイブリッド), 2023年 3月 20日.
    Abstract: In 1983, Ralph Greenberg constructed p-adic Artin L-functions for totally real number fields, by appropriately patching p-adic L-functions associated to intermediate abelian extensions. Following Greenberg's strategy, we will construct p-adic Artin L-functions for CM fields assuming several technical conditions and the validity of (abelian) Iwasawa main conjecture for CM fields. We would especially like to focus on characteristic phenomena and difficulties observed in the CM field case. This is joint work with Tadashi Ochiai (Tokyo Institute of Technology).
  2. 原 隆: GL(n) × GL(n−1) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値の代数性および整性について Ⅱ,   講演スライド (誤植修正済み)
    第2回仙台保型形式小集会,
    東北大学, 2023年 2月 5日
    アブストラクト: GL(n) × GL(n−1) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値の代数性は,Raghuram,Shahidi,Li–Liu–Sun 等によって,コホモロジーを用いた手法により解析されている.本講演では,基礎体が総虚代数体である場合に,Gel'fand–Tsetlin 基底の理論を用いて (g,K)-コホモロジーを詳細に解析することで,上記の臨界値の代数性についての研究結果を精密化し,さらに p 進整性についても論じることが可能となることを解説する.(g,K)-コホモロジーの正規化された生成元と,アルキメデス素点での局所ゼータ積分の明示公式に現れる Whittaker 関数(本研究集会の宮﨑直さんの講演で導入されるもの)との関係が明示的に計算できることが証明の鍵となっており,時間の許す範囲でその概要を紹介したい(宮﨑直 [北里大学],並川健一 [東京電機大学]との共同研究).
  3. 原 隆: GL(n) × GL(n−1) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値とその代数性,整性について,
    大阪大学整数論&保型形式セミナー,
    大阪大学, 2023年 1月 20日
    アブストラクト: GL(n) × GL(n−1) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値は,適切なコホモロジーのカップ積としての幾何学的な解釈を持つ.この事実を用いて,これまでにも Raghuram,Shahidi 等によって臨界値の代数性が議論されてきた.本講演では,アルキメデス素点での精密な解析 (より詳しくは,Gel'fand–Tsetlin 基底を用いた (g,K)-コホモロジーの生成元の正規化) により,基礎体が総虚体である場合に臨界値の代数性,さらには p 進整性について,より詳細な結果が得られることを紹介する.今回は GL(2) での古典理論との比較に基づき,従来の手法の問題点とその解決法のアイデアの概要を解説することに重点をおきたい (宮﨑直 [北里大学],並川健一 [東京電機大学] との共同研究).

2022年

  1. 原 隆: GLn × GLn−1 のランキン–セルバーグ L 関数の臨界値とその代数性,整性について,   講演スライド
    表現論シンポジウム,
    オンライン, 2022年 12月 2日
    アブストラクト: GLn × GLn−1 の Rankin–Selberg L 関数の臨界値は,適切なコホモロジーのカップ積としての幾何学的な解釈を持つ.この事実を用いて,これまでにも Raghuram,Shahidi 等によって臨界値の代数性が議論されてきた.本講演では,アルキメデス素点での精密な解析により,基礎体が総虚体である場合に臨界値の代数性,さらには p 進整性について,より詳細な結果が得られることを紹介する.表現論の研究集会であることを鑑みて,数論的背景の説明は講演予稿に譲ることとして講演では必要最低限に留め,主定理の核心部である (g, K)-コホモロジーの生成元の Gelfan'd–Tsetlin 基底を用いた明示的構成と計算の詳細について詳しく解説したい (宮﨑直 [北里大学],並川健一 [東京電機大学] との共同研究).
  2. 原 隆: GL(n) × GL(n−1) のランキン–セルバーグ L 関数の臨界値とその代数性,整性について,
    慶應代数セミナー,
    慶應義塾大学 (オンライン), 2022年 10月 24日
    アブストラクト: GL(n+1) × GL(n) の ランキン–セルバーグ L 関数の臨界値は,適切なコホモロジー類のカップ積としての幾何的な解釈を持つ.この事実を用いて,これまでにも Raghuram, Shahidi 等によって臨界値の代数性が議論されてきた.本講演では,アルキメデス素点での精密な解析 (より詳しくは,ゲルファンド–ツェットリン基底を用いた (g, K)-コホモロジーの生成元の正規化) により,基礎体が総虚体である場合に臨界値の代数性,さらには p 進整性について,より詳細な結果が得られることを紹介する.主定理の証明における (膨大な) 計算の解説は別の機会に譲ることとし,今回は GL(2) での古典理論との比較に基づき,従来の手法の問題点とその解決法のアイデアの概要を解説することに重点をおきたい (宮﨑直 [北里大学],並川健一 [東京電機大学] との共同研究).
  3. 原 隆: On p-adic Artin L-functions for CM fields,
    L-functions and Motives in Niseko 2022,
    ヒルトンニセコビレッジ (北海道), 2022年 9月 7日 – 12日.
    アブストラクト: 本講演では,総実代数体の場合のグリーンバーグによる構成と対照させつつ,CM体の p 進アルティン L 関数の構成について論じる.特にCM体の場合に現われる特徴的な現象や困難に焦点を当てたい (落合理との共同研究).
  4. 原 隆: GL(n+1) × GL(n) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値とその代数性,整性について,
    吹田表現論セミナー,
    大阪大学情報科学研究科 (オンライン), 2022年 8月 22日
    アブストラクト: GL(n+1) × GL(n) の Rankin–Selberg L 関数の臨界値は,適切なコホモロジー類のカップ積としての幾何的な解釈を持つ.この事実を用いて,これまでにも Raghuram, Shahidi 等によって臨界値の代数性が議論されてきた.本講演では,Rankin–Selberg L 関数の臨界値のカップ積による幾何的解釈について解説した後,アルキメデス素点での精密な解析 (詳しくは (g, K)-コホモロジーの生成元の正規化) により,基礎体が総虚体であるときに臨界値の代数性,さらには整性についてより詳しい結果が得られることを紹介する (宮﨑直 [北里大学],並川健一 [東京電機大学] との共同研究).
  5. 原 隆: Raghuram–Shahidi の Whittaker 周期のモチーフ論的解釈,
    北陸数論セミナー,
    金沢大学サテライトプラザ, 2022年 6月 2日
    アブストラクト: 志村五郎,肥田晴三等によるモジュラー形式 (或いは GL(2) の保型表現) の標準周期の構成を拡張する形で,A. Raghuram と F. Shahidi は一般線形群 GL(n) の保型表現に付随する Whittaker 周期なる不変量を定義した.Whittaker 周期の積が GL(n+1) と GL(n) の保型表現に付随する Rankin–Selberg L関数の臨界値の超越部分を与えることは Raghuram 等によって示されているが,個々の Whittaker 周期はL関数の特殊値と直接は結び付かない.本講演では,基礎体が総実代数体またはCM体の場合に,Deligne の臨界値予想,GL(n) の保型表現に付随するモチーフの存在予想などの幾つかの基本的な予想の下で Raghuram–Shahidi の Whittaker 周期が付随するモチーフの (吉田敬之の意味での) 基本周期によって記述できることを解説する (並川健一 [東京電機大学] との共同研究).
  6. Takashi Hara: On p-adic Artin L-functions for CM fields,
    Iwasawa theory and p-adic L-functions,   講演ノート
    オンライン (Zoom), 2022年 4月 27日.
    アブストラクト: 固定されたアルティン表現で捻ったヘッケ L 関数の臨界値を補間する (p 通常) CM体の p 進アルティン L 関数の構成法について解説する.我々の戦略は,基本的には総実体の場合のグリーンバーグによる p 進 アルティン L 関数の「貼り合わせ」構成に基づくものであるが,CM体の場合には新しい現象や困難が観察される.本講演では,特にグリーンバーグの結果と我々の結果の相違点に焦点を当てたい (落合理との共同研究).
  7. 原 隆: Eisenstein 合同式の手法とその発展について,
    Dasgupta Kakde の最近の仕事とその周辺 Workshop,
    慶應義塾大学, 2022年 2月 17日.
    アブストラクト: S. Dasgupta と M. Kakde による Brumer–Stark 予想の証明で用いられる Eisenstein 合同式の手法 (または Ribet の手法) は,K. A. Ribet による “Herbrand の定理の逆” の証明において初めて導入されたものであるが,その後岩澤主予想のような大定理の証明に於いて中心的な役割を演じ続けており,現代整数論に於いて不可欠な手法の1つとなっている.
    本講演では,Eisenstein 合同式の構成の基本戦略を概観し,Eisenstein 合同式の構成技術の進展を簡単に振り返った上で,先行研究と比較対照しつつ Dasgupta–Kakde の手法の特筆すべき点について論じる.
  8. 原 隆: Eisenstein 合同式に現れる尖点形式の構成とヘッケ環の作用について,
    Dasgupta Kakde の最近の仕事とその周辺 Workshop,
    慶應義塾大学, 2022年 2月 17日.
    アブストラクト: 講演の前半では,2日目の講演の内容を統合して,並川氏の講演で導入された Eisenstein 級数 (の群環係数版) と合同な (群環係数の) ヒルベルト尖点形式を構成し,Brumer–Stark 予想の証明で核心的な役割を演じる Eisenstein 合同式を完成させる.
    講演の後半では,構成した尖点形式 (の剰余類) へのヘッケ環の作用を用いて全射準同型写像 φ:→W を定義し,その性質について論じる.

2021年

  1. 原 隆: CM 体上の p 進アルティン L 関数について,   講演ノート (加筆修正版)
    早稲田整数論セミナー,
    早稲田大学 (オンライン), 2021年 5月 7日.
    アブストラクト: CM 体上のアルティン L 関数の臨界値を補間する (多変数) pL 関数の構成の概略について解説する。
    総実代数体上の p 進アルティン L 関数は Ralph Greenberg (1984, 2014) によって構成された古典的な対象であるが、Greenberg の構成を CM 体の場合に安直に拡張しようとすると (主に CM 体の p 進 ヘッケ L 関数が多変数関数であることに起因する) 新しい現象が幾つも観察される。本講演では、アルティン L 関数の定義およびその基本性質の解説から始め、総実代数体の場合の構成と対照させながら CM 体の場合に新たに生じる難しい / 面白い現象を浮き彫りにした上で、問題の解決の方針を時間の許す限り紹介したい (落合理 [大阪大学] との共同研究)。

2020年

  1. 原 隆: GL(3) × GL(2) のゼータ積分のコホモロジー論的解釈,   レジュメ,   講演ノート
    九州代数的整数論2020夏 on Zoom,
    九州大学 (オンライン), 2020年 8月 8日 — 11日.
    アブストラクト: 保型 L 関数の臨界値を与える大域的ゼータ積分を、適切なコホモロジー類のカップ積 (周期積分) として解釈することは、臨界値の代数性や付随する pL 関数を論じる際に極めて有用である。
    本講演では、GL(3)、GL(2) のコホモロジカルな尖点的保型表現に対し、 付随するコホモロジー類をそれぞれ明示的に構成した上で、 平野–石井–宮﨑の結果を用いてそのカップ積を計算できることを紹介する。
    構成が全て明示的であることの恩恵として、周期の非自明性が導かれるだけでなく (これは Kasten–Schmidt や Binyong Sun によって既に証明されている)、無限素点での局所ゼータ積分により期待されるガンマ因子が得られることや、ベッチコホモロジーとド・ラムコホモロジーの比較同型を介して定義される (Deligne の臨界値予想の文脈での) 周期に対して臨界値の代数性が証明できることも従う。
    講演では保型 L 関数の特殊値の代数性や pL 関数の研究にまつわる背景や問題点を簡単に振り返った上で、我々の採った戦略の概要を過度に専門的な部分は避けつつ紹介したい (並川健一 [九州大学] との共同研究)。

2019年

  1. Takashi Hara: On equivariant Iwasawa theory for CM number fields,
    The 8th East Asia Number Theory Conference,
    韓國科學技術院 (KAIST), 2019年 8月 28日.
    アブストラクト: CM体の或る非可換 p 進リー拡大に対する同変版の岩澤主予想について論じる.
  2. 原 隆: 代数体の非可換岩澤理論を巡って,   レジュメ
    第23回早稲田大学整数論研究集会,
    早稲田大学, 2019年 3月 14日.
    アブストラクト: 代数体の非可換岩澤理論とは、代数体の或る種の無限次非可換拡大 (正確には p 進リー拡大) を舞台として、代数的対象 (セルマー複体およびそのポントリャーギン双対) と解析的対象 (同変 p 進ゼータ関数) の間の神秘的な関を追究する理論であり、岩澤健吉等による代数体の古典的な岩澤理論を (尾崎学等による非アーベル岩澤理論とは異なる観点から)《非可換化》したものである。しかしその扱いは容易ではなく、2010年頃の J. Ritter, A. Weiss 並びに M. Kakde による総実代数体の非可換岩澤主予想の解決以降、目覚ましい進展が見られるとは言い難いのが現状である。本講演では、非可換岩澤理論の設定を簡単に振り返った後、講演者の最近の試みについて紹介する。

2018年

  1. 原 隆: 代数体の非可換岩澤主予想について,
    松江数論セミナー,
    島根大学, 2018年 12月 15日.
    アブストラクト: 岩澤健吉により提出された円分体の岩澤主予想は、イデアル類群とゼータ関数の特殊値の間に横たわる神秘的な関係を記述するものと表現することができるでしょう。その舞台たる円分拡大の塔を「非可換な拡大の塔」(p 進リー拡大) へと拡張してみると、一体どのような不思議な現象が起こるのでしょうか? それを追究することこそが、今日非可換岩澤理論と呼ばれる分野の最大のテーマです。本講演では、古典的岩澤主予想の定式化を振り返ったのち、その主張の非可換拡大への拡張 (非可換岩澤主予想) の方法を概観します。Ritter, Weiss, Kakde 等が総実代数体の 非可換岩澤主予想を解決した際の戦略にも触れつつ、時間が許す限り、講演者が最近取り組んでいるCM体の非可換岩澤主予想の現状についてもお話しできればと考えております。
  2. 原 隆: 「実/複素ゼータの世界」から「p 進ゼータの世界」へ,   レジュメ   補足資料
    第26回整数論サマースクール『多重ゼータ値』,
    伊良湖シーパーク&スパ, 2018年 9月 11日.
    アブストラクト: 多重ゼータ値/関数の p 進世界での対応物である p 進多重ゼータ値/関数について講演します。p 進世界でゼータ値/関数を考えるのが何故難しいかを簡単に振り返った後、
    • p 進積分論を用いた p 進多重ポリログ関数および p 進多重ゼータ値の定義
    • p 進KZ方程式と p 進 Drinfel'd 結合子
    • p 進[多重]ゼータ関数の補間性質と Coleman の公式
    などのトピックスについて解説する予定です。時間の関係で非常に大雑把な枠組みを駆け足で紹介することしか出来ませんが、「p 進ゼータの世界」の難しさ、面白さを楽しんでいただければ幸いです。
  3. 原 隆: 岩澤理論入門 —岩澤主予想をめぐって,
    茨城大学整数論セミナー,
    茨城大学, 2018年 8月 9日.
    アブストラクト: 岩澤健吉によって展開された古典的岩澤理論について、円分体のイデアル類群とゼータ関数の p 進世界での不思議な結び付きを記述する岩澤主予想の主張を理解することを目標として解説します。
  4. 原 隆: CM体の非可換岩澤理論について,
    九大代数学セミナー,
    九州大学, 2018年 7月 20日.
    アブストラクト: CM体の非可換岩澤主予想を巡る講演者の近年の取り組みについて解説する。まず Jürgen Ritter と Alfred Weiss による (総実代数体の) 同変岩澤理論の枠組みをCM体に対して適用し、CM体の多変数岩澤主予想を拡張する形で非可換岩澤主予想を提示する。その後、主予想の証明に向けた代数サイドの議論 (中間アーベル拡大に付随する p 進ゼータ関数の《貼り合せ》条件の導出) の現状を、総実代数体の場合と比較しつつ報告する。時間が許せば、解析サイドの議論 (p 進ゼータ関数の《貼り合せ》条件の正当化) に関連する Athanasios Bouganis, Dohyeong Kim 等の先行研究を紹介した上で、今後の展望についても述べたい。
  5. 原 隆: CM体の非可換岩澤理論について,
    九州代数的整数論2018,
    九州大学, 2018年 3月 8日.
    アブストラクト: CM 体の非可換岩澤理論について講演する.非可換岩澤理論の舞台設定から始め,総実代数体の場合との顕著な違いや困難について (古典的な設定の場合も含めて) 比較した上で,非可換 p 進ゼータ関数を構成するための戦略を概観する予定である.時間が許せば現状と今後の課題について,CM体の p 進 L 関数の所謂《非可換合同式》に関する Athanasios Bouganis, Dohyeong Kim 等の先行研究も紹介しながら考察したい.

2017年

なし

2016年

  1. 原 隆, 並川 健一: Modular symbol の方法による GL(2n), GL(n)×GL(n−1)pL 函数の構成の現状 (仮題),
    RIMS合宿型セミナー『保型 L 函数の特殊値と付随する pL 函数』
    美山町自然文化村 河鹿荘, 2016年 9月 22日 (予定).
    恐らく GL(n)×GL(n−1)p 進分布関数の構成についての結果 (Januszweski 等) についての概説を担当することになるかと思いますが、詳細は未定です。
  2. 原 隆: セルマー群の概可除性と特性イデアルの特殊化について,
    特異点論月曜セミナー,
    日本大学 文理学部, 2016年 7月 25日.
  3. Takashi Hara: On the Iwasawa main conjecture for Hilbert modular cuspforms with complex multiplication,
    2016 Korea-Japan Joint Number Theory Seminar,
    浦項工科大学校 (POSTECH) 数学科, 2016年 2月 1日.
    アブストラクト: I will introduce our recent approach to the Iwasawa main conjecture for Hilbert modular cuspforms with complex multiplication, a joint work with Tadashi Ochiai (Osaka University). As with the elliptic modular case, Hilbert primitive forms with complex multiplication are obtained as the theta lifts of appropriate grossencharacters of CM number fields. Philosophically one can verify the main conjecture for such forms by specialising the multivariable main conjecture for CM number fields twisted by the corresponding grossencharacters. There are, however, several technical (but important) problems in this specialisation procedure which we have to overcome. After summarising our strategy and problems, I will explain that we can deduce the cyclotomic main conjecture for Hilbert CM cuspforms (at least up to mu invariants) under several hypotheses, including the validity of the main conjecture for CM number fields. If time permits, I would also like to explain our approach to the main conjecture for the nearly ordinary Hilbert-Hida families (with complex multiplication) by patching the cyclotomic main conjectures for various Hilbert CM cuspforms (in progress).

2015年

  1. 原 隆: 岩澤加群の擬零部分加群の自明性と岩澤主予想の特殊化について,
    愛知数論セミナー,
    愛知工業大学, 2015年 6月 6日.
  2. 原 隆: 擬零部分加群の自明性と特性イデアルの特殊化について,
    愛媛大学代数セミナー,
    愛媛大学, 2015年 1月 26日.
    アブストラクト: 大学の代数学の講義でも扱われるように、単項イデアル整域上の有限生成加群の構造がいわゆる「構造定理」によって詳細に記述されることは広く知られている。一般の係数環上の有限生成加群に対しては勿論これほど精密な「構造定理」は成り立たないが、例えば係数環が正則局所環である場合には、擬零加群と呼ばれる「(相対的に)小さい」加群を無視して考えると全く同じ形の「構造定理」が成り立つ。この「構造定理」を用いて定義される特性イデアルは、加群の「大きさ」を測る指標として非常に重要な不変量であるが、擬零部分加群の影響を無視して定義されていることから、一般に係数拡大に対する整合性を持たないという致命的な弱点を有することが宿命づけられている。本講演では、考えている加群が非自明な擬零部分加群を持たないならば、適切な条件下で特性イデアルが (高さ1の素イデアルによる) 商に対して整合的に振る舞うことを解説した後、その岩澤理論への応用について論じる (部分的に落合理 [大阪大学] との共同研究の内容を含む)。

2014年

  1. 原 隆: Ritter–Weissの同変岩澤理論について,
    第22回整数論サマースクール『非可換岩澤理論』,
    小豆島ふるさと村, 2014年 9月 1日.
    アブストラクト: 今回のサマースクールの前半では [CFKSV05] に基づく総実代数体の岩澤主予想の定式化が紹介された後、Mahesh Ramesh Kakde の方法に則った主予想の証明の概略についての解説がなされている筈です。しかし、Kakde と同時期に (プレプリントの公表時期としては Kakde に先んじて) Jürgen Ritter と Alfred Weiss が総実代数体の岩澤主予想の証明を公開していました。彼等の手法は Kakde のものとはまた異なった戦略に則ったものであり、Kakde の手法と比較検討することは大変重要で意義深いことですが、彼等の証明は彼等自身による岩澤主予想の定式化 (野村さんの講演でも登場した『同変岩澤理論』) の枠組みに沿って行われているため、遺憾ながら両者を比較する前の段階で既に膨大なエネルギーを消費するものとなってしまっているのが現状だと思われます。
    そこで本講演では、前半で [CFKSV05] のスタイルの主予想の定式化と Ritter–Weiss の同変岩澤理論に於ける主予想の定式化を簡単に比較し、それぞれの定式化が実質的に同じものであることを確認します。その後、(日本ではあまり紹介されてこなかったと思われる) Ritter と Weiss による主予想の証明方針を、特に Kakde の証明と違う点に重点を置きつつ時間の許す限り概観したいと考えております。
    以上の様な趣旨の講演ですので、他の講演と比べると幾分 “ディープな” 内容になるかと思われますが、折角の機会ですので非可換岩澤主予想の世界を最後まで余すところなくお楽しみいただければ幸いです。
  2. 原 隆: 非可換岩澤主予想の証明の方針: Burns–加藤の手法,
    第22回整数論サマースクール『非可換岩澤理論』,
    小豆島ふるさと村, 2014年 8月 29日.
    アブストラクト: 総実代数体の p 進リー拡大の非可換岩澤主予想は、そこに含まれる可換な p 進リー拡大達に対する (Andrew Wiles によって証明された) 岩澤主予想を言わば《貼り合わせる》ことによってなされます。本講演では、後の講演の導入としての役割も兼ね併せて、David Burns により発案され加藤和也により洗練された岩澤主予想の《貼り合わせ》の手法について、特にその傑出したアイデアの部分に焦点を当てて解説します。
    議論や計算が繁雑な部分は全て後の北島さん、大下さんの講演にお任せして、ここではアイデアの根幹がわかるように、枝葉は全て切り落としてなるべく平易に解説することを心掛けるつもりです。
  3. 原 隆: ブリュアー-ティッツ理論を用いたカラー-シャーレン理論の拡張について,
    香川セミナー,
    香川大学, 2014年 7月 12日.
    アブストラクト: 本質的曲面とは、3次元多様体に含まれる (位相的) 曲面で非圧縮可能条件を満たすもので、3次元多様体論に於いて非常に重要な役割を演じる対象です。1983年に Marc Culler と Peter B. Shalen は、指標多様体の幾何学やブリュアー-ティッツの木の理論といった非常に代数的な手法を駆使して、本質的曲面を組織的に構成する手法を開発しました。
    本講演では、高次指標多様体及びブリュアー-ティッツの (高次元の) 建物の理論を用いることにより、Culler と Shalen の手法を拡張して3次元多様体に含まれる本質的《三つ又分岐》曲面が構成出来ることを解説します [北山貴裕 (東京工業大学) との共同研究]。講演では本質的曲面の具体例等、3次元トポロジーの基礎事項についても簡単に解説する予定です。
  4. Takashi Hara: Concerning actions of 3-manifold groups: from topological and arithmetic viewpoints,
    Intelligence of Low dimensional topology,
    京都大学数理解析研究所, 2014年 5月 22日.   レジュメ
    アブストラクト: 一見すると奇妙に見えるかもしれませんが、(位相的な概念である) 本質的曲面と3次元多様体の基本群の樹木への (代数的な) 作用の間には深い関係があります。このことはかなり古典的な考察に基づくものではありますが、それでも本質的曲面の様な位相幾何的対象の研究においても洗練された代数的、或いは数論的な手法を導入することには十分価値があることを示唆していると捉えることが出来ましょう。
    本講演では上記の示唆に基づく実践例として、最初にマーク・カラーとピーター・B・シャーレンによる本質的曲面の構成がブリュアー-ティッツの建物の理論を用いて拡張出来ることを紹介します (東京工業大学 北山貴裕との共同研究)。時間が許せば、本質的曲面や3次元多様体の基本群の作用に関する展望や問題について数論的立場から論じたいと思います。

2013年

  1. 原 隆: CM体に付随するセルマー群の概可除性と多変数岩澤主予想の円分特殊化について,
    早稲田整数論セミナー,
    早稲田大学, 2013年 11月 22日.   参考資料
    アブストラクト: 多変数岩澤主予想の特殊化とは,多変数主予想の等式の或る変数に「〈値を代入〉して〈文字を消去〉する操作」であり,最近のクリストファー・マクレーン・スキナーとエリック・ウルバンによる楕円保型形式の岩澤主予想についての結果 (Invent. Math., 2013) に於いて繰り返し用いられていることからも(うかが)える様に,岩澤理論の研究の様々な局面で頻繁に用いられる重要な手法である.一般に (岩澤主予想の〈代数サイド〉の主役を演ずる) 特性イデアルの概念が特殊化という操作に対して全く整合的に振る舞わないため,多変数岩澤主予想の特殊化に際しては見かけ以上に繊細な考察が要求され,特にセルマー群の概可除性の問題が大きく関わってくることが古来から観察されていた.
    本講演では,先ず虚二次体の (A0) 型量指標に付随する多変数岩澤主予想を例に挙げつつ,セルマー群の概可除性の問題が岩澤主予想の特殊化に対して如何様にして関与するかについて概説する.その後,CM体の多変数岩澤主予想を逐次的に特殊化することで虚数乗法を持つヒルベルト保型形式に対する円分岩澤主予想が (一定の仮定の下で) 導かれることを,特に特性イデアルの特殊化の側面に焦点を当てながら解説する [落合理 (大阪大学) との共同研究].
  2. 原 隆: 虚数乗法を持つヒルベルト保型形式の岩澤主予想について,
    第58回代数学シンポジウム,
    広島大学, 2013年 8月 29日.   参考資料
  3. 原 隆: 3次元多様体に対するカラー-シャーレン理論を巡って,
    第12回広島仙台整数論集会,
    広島大学, 2013年 7月 19日.   レジュメ
    アブストラクト: カラー-シャーレン理論は3次元位相多様体に含まれる本質的曲面の構成に関する古典的理論であり,低次元トポロジーの分野に於いて数々の強力な結果を生み出す原動力となっている.そこでは指標多様体の幾何学や〈樹木〉の理論等代数的な手法が縦横無尽の活躍を演じており,整数論的観点からも非常に興味深い理論であると言えよう.本講演では古典的なカラー-シャーレン理論を簡単に振り返った後,ブリュアー-ティッツの〈建物〉の理論を用いた高次元表現への拡張並びに数論的位相幾何学の観点からの応用 (へ向けた取組み) について論ずる [北山貴裕 (東京大学) との共同研究].
  4. 原 隆: カラー-シャーレン理論の高次表現への拡張について,
    東京理科大学 談話会,
    東京理科大学, 2013年 7月 12日.   参考資料
    アブストラクト: カラー-シャーレン理論は,3次元多様体に含まれる「本質的曲面」と呼ばれる曲面を組織的に構成するために創設された低次元トポロジーに於ける最も重要な古典理論の一つである.そこでは基本群のSL(2) 表現のモジュライ空間の幾何学やバス-セール理論といった極めて代数的/代数幾何的な手法が効果的に用いられており,代数的な観点からも非常に興味深い理論であるといえよう.
    本講演では古典的なカラー-シャーレン理論について (主に代数的な議論の部分を) 簡単に振り返った後,高次特殊線型群 SL(n) に付随するブリュアー-ティッツの建物を用いたカラー-シャーレン理論の高次表現への拡張について論じる.時間が許せば数論的位相幾何学の観点から提起される諸問題についても言及したい [北山貴裕 (東京大学) との共同研究].
  5. 原 隆: 虚数乗法を持つ保型形式の円分岩澤主予想について,
    HAG (ホモトピー代数幾何) セミナー, (非公式講演)
    京都大学数理解析研究所, 2013年 6月 21日.
    アブストラクト: 虚数乗法を持つ尖点形式の円分岩澤主予想を題材に,多変数岩澤主予想の“特殊化”の際に生じる技術的な困難について論じる.講演では基本的に楕円尖点形式の場合を扱い,虚数乗法を持つ楕円尖点形式の円分岩澤主予想と虚二次体の (二変数) 岩澤主予想の関係について解説する.時間が許せば虚数乗法を持つヒルベルト尖点形式の円分岩澤主予想に関する結果にも言及したい [落合理 (大阪大学) との共同研究].
  6. 原 隆: 3次元多様体に対するカラー-シャーレン理論及び関連する話題について,
    第17回早稲田大学整数論研究集会,
    早稲田大学, 2013年 3月 17日.   レジュメ (英語)
    アブストラクト: ものの〈かたち〉を追究するトポロジーという学問に於いて「多様体をより単純な〈かたち〉の多様体に分解する」という手続きが欠かせないことは言うまでもないが,特に3次元多様体のトポロジーでは本質的曲面に沿った分解が重要な役割を演ずる.1983年にマーク・カラーとピーター・シャーレンは3次元多様体に含まれる非自明な本質的曲面を組織的に構成する理論を構築したが,その手法は指標多様体という代数多様体 (基本群の2次元表現のモジュライ) の幾何学とハイマン・バス,ジャン-ピエール・セールによる樹木の理論を組み合わせた極めて代数的なものであった.本講演では古典的なカラー-シャーレン理論を簡単に振り返った後,フランソワ・ブリュアーとジャック・ティッツの建物の理論を用いた高次表現多様体への拡張,並びに (バリー・メイザー,森下昌紀の意味での) 数論的位相幾何への応用 (に向けた取組み) について解説する [北山貴裕 (東京大学) との共同研究].
  7. 原 隆: 総実代数体の岩澤主予想及びその非可換化について,
    HAG (ホモトピー代数幾何) セミナー, (非公式講演)
    名古屋大学, 2013年 2月 23日.
    アブストラクト: 非専門家向けに総実代数体の非可換岩澤主予想について解説講演する.始めに原型である有理数体の岩澤主予想の定式化を紹介する.その後主予想の非可換化に於いて何が障碍(しょうがい)なるかを考察し,その困難を如何にして回避するかについて説明を加える.
    時間が許せばデイヴィッド・バーンズ及び加藤和也の〈貼り合わせ〉による非可換岩澤主予想へのアプローチを紹介し,比較的簡単な非可換拡大の場合に主予想の証明方針を解説したい.
  8. 原 隆: 虚数乗法を持つヒルベルト尖点形式に対する円分岩澤主予想について,
    第6回ゼータ若手研究集会,
    長崎大学, 2013年 2月 15日.   レジュメ
    アブストラクト: 岩澤主予想とは,セルマー群のポントリャーギン双対の特性イデアルという〈代数的な不変量〉と pL 関数と言う〈解析的な不変量〉が p 進の世界で本質的に一致することを主張する極めて神秘的な予想であり,整数論の華形の一つとも言えよう.楕円保型形式に対する岩澤主予想の研究は近年加藤和也,クリストファー・スキナー,エリック・ウルバン等に依り劇的な進展を迎えているが,その一方で虚数乗法を持つ楕円保型形式に対しては「付随する量指標のテータ持ち上げを通じて虚二次体の岩澤主予想と結びつける」と言う,一般の場合と比較するとかなり様相の異なる方針から主予想にアプローチ出来ることがカール・ルービンや加藤和也等に依って観察されていた.本講演では後者の方針を虚数乗法を持つヒルベルト尖点形式に一般化し,CM体の岩澤主予想と関係づけることに拠って虚数乗法を持つヒルベルト尖点形式の円分岩澤主予想に取り組む試みについて解説する.時間が許せばCM体の主予想を特殊化する際に生ずる技術的困難についても言及したい [落合理 (大阪大学) との共同研究].

2012年

  1. 原 隆: CM体に対する pL 関数について,
    数論幾何学セミナー,
    北海道大学, 2012年 12月 21, 22日.
    アブストラクト: 久保田富雄と Heinrich-Wolfgang Leopoldt に依る p 進ディリクレ L 関数の構成以降,今日に至るまで実に様々なモチーフに対して pL 関数が構成されてきたが,中でも特徴的なものの一つとして Michael Nicholas Katz に依るCM体の pL 関数の構成が挙げられるであろう.Katz はヒルベルト保型形式の幾何的理論を駆使し, p 進保型形式の空間に値を持つアイゼンシュタイン測度と呼ばれる測度を構成してCM点での値をとるという極めて独創的な発想に拠り pL 関数を構成することに成功した.
    本講演では Katz (並びに肥田晴三,Jacques Tilouine) に依るCM体の pL 関数の構成方法について背景となるヒルベルト保型形式の幾何的理論を含めなるべく詳細に解説する.その後,関連する発展的な話題について主に岩澤理論的な観点から幾つかのトピックを選択して時間の許す限り紹介したい.

    予定
    1. 導入
    2. ヒルベルト-ブルメンタールアーベル多様体のモジュライと幾何的ヒルベルト保型形式
    3. ヘッケのアイゼンシュタイン級数とアイゼンシュタイン測度
    4. 数論的微分作用素の理論と pL 関数の補間性質
    5. 応用
      高次元表現への応用について (Michael Harris, 勵建書, Christopher Skinner, Ellen Eischen),CM体の反円分岩澤主予想について (肥田-Tilouine, 肥田),CM体の岩澤主予想について (Fabio Mainardi, 謝銘倫),Katz-肥田-Tilouine p 進測度間の捩れ合同式について (Otmar Venjakob, Thanasis Bouganis),虚数乗法を持つヒルベルト保型形式の岩澤主予想との関係 (落合理との共同研究 / 進行中) 等から適宜選択して解説する予定
  2. 原 隆: pL 関数について,
    八王子解析数論セミナー,
    八王子セミナーハウス, 2012年 8月 29, 30日.   講演内容
    pL 関数及び関連する話題について解説する.
    1. 久保田-レオポルトの pL 関数の構成について
      p 進補間の考え方,久保田-レオポルトの構成,岩澤の構成とベルヌーイ測度について,コールマン羃級数を用いた構成,等
    2. 総実代数体の pL 関数
      コーツの合同条件,新谷の錐分割を用いた構成,ドリーニュ-リベの構成について,等
    3. 色々な pL 関数
      CM体の pL 関数 (カッツ),楕円保型形式の pL 関数,モチーフの pL 関数等
    4. 岩澤主予想について
    (結局CM体の pL 関数の話までさせていただきました)
  3. 原 隆: CM体に付随する pL 関数について,
    岩澤理論ワークショップ 2012,
    大阪大学理学研究科, 2012年 4月 3, 4, 5日.
    ニコラス・カッツ, 肥田晴三, ジャック・ティルウィンに依るCM体に付随する pL 関数の構成及び関連する話題について3時限に渡って解説する.
    1. CM体に付随する pL 関数の存在定理の紹介
      CM体,CM型,(A0) 型量指標,CM 及び p 進周期等の用語を準備した後,pL 関数の存在定理を紹介し,構成の方針を概観する.
    2. カッツ, 肥田, ティルウィンに依るCM体の pL 関数の構成
      カッツ等に依るアイゼンシュタイン測度及び pL 関数の構成について解説する.特にCM周期とp進周期,代数的微分作用素,ホッジ・フィルトレーションの分裂について詳しく解説しました.
    3. CM体の岩澤主予想及び関連する話題について
      肥田, ティルウィンに依る反円分主予想へのアプローチ,謝銘倫に依る(d+1)-変数主予想へのアプローチ,並びにCM体の非可換岩澤理論へのアプローチ等の最先端のトピックから適宜取捨選択して解説する.

      (残念ながら時間が全くありませんでした)

2011年

  1. 原 隆: 論文紹介 (第4部),
    玉原数論幾何研究集会 2011,
    東京大学玉原国際セミナーハウス, 2011年 6月 1日.
    紹介論文: Kazuya Kato, p-adic Hodge theory and values of zeta functions of modular forms, in: Cohomologies p-adiques et applications arithmétiques III, Astérisque 295 (2004) 117--290.
    ベイリンソン-加藤元に関するゼータ値公式の証明について担当しました.
  2. Takashi Hara: On Kummer-type congruences between p-adic zeta functions associated to non-commutative p-adic representations,
    Instructional workshop on the noncommutative main conjectures,
    ミュンスター大学 (ドイツ) 2011年 4月 30日.
  3. 原 隆: 総実代数体の非可換岩澤主予想について,
    大阪大学整数論・保型形式セミナー,
    大阪大学, 2011年 4月 15日.
    アブストラクト: 総実代数体の非可換岩澤主予想は,アンドリュー・ワイルズが証明した総実代数体の古典的な岩澤主予想の〈非可換〉拡張であり,加藤和也,ユルゲン・リッター,アルフレッド・ヴァイス,マヘシュ・カクデ及び講演者の仕事に基づいて,最終的に2010年にリッター-ヴァイス並びにカクデに依って独立に証明されるに至った.
    本講演では最初に総実代数体の非可換岩澤主予想の定式化を行い,その定式化が古典的な岩澤主予想の〈非可換〉拡張と見做せることを解説した後に証明の大雑把な流れについて概説する.時間が許せば同変玉河数予想への応用やこれからの展望についても可能な限り触れたい.
  4. 原 隆: On non-commutative Iwasawa main conjecture for totally real number fields,
    岩澤理論ミニ研究集会,
    京都大学 大学院理学研究科, 2011年 4月 8日.
    アブストラクト: We will sketch the proof of non-commutative Iwasawa main conjecture for totally real number fields and explain key ideas in the proof based on the works of Kazuya Kato, David Burns, Ritter-Weiss, Mahesh Kakde and the speaker. We especially focus on how induction works in the construction of the p-adic zeta functions for non-commutative p-extensions.
  5. 原 隆: Inductive construction of the p-adic zeta functions for non-commutative p-extensions of exponent p of totally real fields
    (総実代数体の羃指数p型非可換p拡大に対するp-進ゼータ関数の帰納的構成),
    博士論文発表会 (論文審査),
    東京大学, 2011年 2月 4日.
  6. 原 隆: 非可換岩澤主予想及び関連する話題について,
    早稲田整数論セミナー,
    早稲田大学, 2011年 1月 14日.
    アブストラクト: 総実代数体の非可換岩澤主予想がほぼ一般的に解決されたことを記念 (?) して,非可換岩澤理論及び関連する話題について主予想を中心に解説する.
    非可換岩澤主予想の定式化及び古典理論との関係,総実代数体の場合の証明の方針,ゼータ関数の特殊値 (玉河数予想) との関係及び今後の展望・課題などについて,講演者の結果及び取組みも交えつつ紹介したい.

2010年

  1. 原 隆: 総実代数体の羃指数p非可換p拡大に対するp-進ゼータ関数の帰納的構成,
    代数学コロキウム,
    東京大学, 2010年 12月 22日.
    アブストラクト: 総実代数体の非可換岩澤理論に於けるp-進ゼータ関数の構成及び主予想の証明について,特別な場合に解説する.
    総実代数体の非可換岩澤主予想は,David Burns 及び加藤和也による「ゼータ関数の貼り合わせ」の手法を用いて加藤,Mahesh Kakde 及び講演者によって特別な場合に証明されてきた (Jürgen Ritter, Alfred Weiss も異なる定式化の下で主予想が成立する例を構成している).本講演では拡大のガロワ群がp進整数環と羃指数p有限群の直積と同型な場合に,Burns-加藤の手法と帰納的な議論を組み合わせることで非可換岩澤主予想が証明できることを紹介する.
    なお,総実代数体の非可換主予想は,2010年に Ritter-Weiss 及び Kakde によって一般の場合にも解決されていることを注記しておく.
  2. 原 隆: 総実代数体の非可換岩澤主予想について, 講演レジュメ (pdf),
    代数的整数論とその周辺,
    京都大学数理解析研究所, 2010年 12月 7日.
  3. 原 隆: ガロワ表現の円分 p-進ゼータ関数の合同式について,
    第18回整数論サマースクール   「アーサー⋅セルバーグ跡公式入門」   院生とポスドクの時間,
    山中温泉 河鹿荘ロイヤルホテル, 2010年9月7日.
  4. Takashi Hara: Inductive construction of non-commutative p-adic zeta functions for totally real number fields,
    Iwasawa 2010,
    フィールズ研究所 (カナダ, トロント) 2010年 7月 5日.
    アブストラクト: We will discuss how to construct the p-adic zeta functions for non-commutative pro-p extensions of totally real number fields. First we deal with the cases of exponent p as toy models, and then we will discuss general cases by using Mahesh Kakde's computation of Whitehead groups of Iwasawa algebras. We will also explain the relation between our strategy and the additive congruences presented by Jürgen Ritter and Alfred Weiss.
  5. 原 隆: 総実代数体の非可換p進ゼータ関数の帰納的構成について,
    岩澤理論セミナー,
    慶応義塾大学, 2010年6月26日.
  6. 原 隆: 非可換岩澤主予想と同変玉河数予想について, 補足プリント(pdf)
    九州代数的整数論2010,
    九州大学, 2010年 3月 18日.
    アブストラクト: モチーフの L-関数の特殊値に関するブロック-加藤の玉河数予想は岩澤主予想の「降下」(descent) を介して証明されることが期待されており, 実際に特別なケースではこの方針に則って玉河数予想が解決されている. 本講演では, 近年デイヴィッド・バーンズ (David Burns) とオトマール・ヴェンヤコブ (Otmar Venjakob) に依って確立された非可換拡大に対する降下理論を用いることで, 非可換拡大に於いても岩澤主予想が (非可換) 玉河数予想を導くことをクリティカルなテイトモチーフの場合に紹介し, 非可換岩澤理論の玉河数予想への応用について考察する.
    (補足プリントには若干の修正を加えました)
  7. Takashi Hara: Reidemeister torsion, p-adic zeta function and its non-abelization,
    Low dimensional topology and Number theory II,
    東京大学, 2010年 3月 15日.
    アブストラクト: The analogy between Reidemeister torsion theory and Iwasawa theory has been pointed out by many people, but in general the proof of the Iwasawa main conjecture is much more difficult than that of topological analogue (even the construction of the p-adic zeta function is not easy at all!). In this talk I will explain such phenomena and propose the strategy to prove the Iwasawa main conjecture in non-commutative coefficient cases.
  8. 原 隆: Non-commutative Iwasawa main conjecture for totally real number fields and induction method,
    神戸整数論集会,
    神戸大学, 2010年 1月 13日.
    アブストラクト: After brief review of the formulation of the non-commutative Iwasawa main conjecture for totally real number fields, we discuss how to construct the p-adic zeta functions and verify the conjecture via congruences among abelian p-adic zeta functions. If time permits, we will explain that non-commutative Iwasawa main conjecture should imply parts of the equivariant Tamagawa number conjecture (or "non-commutative Tamagawa number conjecture" in the sense of Fukaya and Kato) by virtue of Burns-Venjakob's descent theory.

2009年

  1. Takashi Hara: On induction method for non-commutative Iwasawa theory of totally real fields,
    Nottingham Number Theory Seminar,
    ノッティンガム大学 (イギリス) 2009年 12月 2日.
  2. Takashi Hara: On the inductive construction of the p-adic zeta fuctions in non-commutative Iwasawa theory,
    Number Theory Seminar,
    ケンブリッジ大学 (イギリス) 2009年 10月 6日.
  3. Takashi Hara: Inductive construction of the p-adic zeta functions for non-commutative p-extensions of totally real fields with exponent p,
    Non-commutative algebra and Iwasawa theory,
    数理科学国際センター (イギリス, エジンバラ) 2009年 10月 1日.
    アブストラクト: Let F be a totally real number field and p an odd prime number. Let us consider the p-adic Lie extension the finite part of whose Galois group is isomorphic to a p-group with exponent p. In this talk, inspired by the method of Ritter-Weiss and Kazuya Kato, we will construct the p-adic zeta function associated to such an extension by using algebraic K-theory, Deligne–Ribet's q-expansion principle for Hilbert modular forms and certain inductive technique.
  4. 原 隆: 総実代数体の非可換岩澤理論に於ける p-進ゼータ関数の帰納的構成について,
    代数学セミナー,
    東北大学, 2009年 5月 14日.

2008年

  1. 原 隆: Iwasawa theory of totally real fields for certain non-commutative p-extensions,
    代数的整数論とその周辺,
    京都大学数理解析研究所, 2008年 12月 12日.
  2. 原 隆: 総実代数体の p-拡大に対する非可換岩澤主予想について,
    代数学セミナー,
    九州大学, 2008年 10月 24日.
    アブストラクト: 2005 年の John Coates 等に依る非可換岩澤主予想の定式化の後, 総実代数体のそれほど複雑でない非可換拡大に対しては主予想が成立する例が加藤和也, Mahesh Kakde 等によって構成されており, 彼らの構成を拡張することは非可換岩澤理論の研究において非常に重要な課題である. 本講演では, 「非可換ゼータ関数の帰納的構成」という戦略により, 主予想が成立する拡大のクラスを拡張する試みについて紹介する. Coates-Fukaya-Kato-Sujatha-Venjakob 流の非可換岩澤主予想の簡単な紹介から始めるつもりであるが, 今回は p-進ゼータ関数の帰納的な構成の概略について特に重点的に話したい.
  3. 原 隆: 総実代数体の非可換岩澤理論について (ポスター発表),
    第16回整数論サマースクール   「保型 L-関数」   ポスターセッション,
    幕張メッセ 国際会議場, 2008年8月18日.
  4. 原 隆: Iwasawa theory of totally real fields for certain non-commutative p-extensions,
    第7回広島整数論集会,
    広島大学, 2008年 7月 24日.
    アブストラクト: Recently, Kazuya Kato has proven the non-commutative Iwasawa main conjecture (in the sense of Coates, Fukaya, Kato, Sujatha and Venjakob) for non-commutative Galois extensions of “Heisenberg type” of totally real fields, using integral logarithmic homomorphisms introduced by Oliver and Taylor. His method was based on Burns' outstanding idea, “construct the p-adic zeta functions for non-commutative extensions by patching p-adic zeta functions associated to commutative subextensions.” In this talk, we apply Kato's method (and Burns' technique) to certain non-commutative p-extensions which are more complicated than those of Heisenberg type, and sketch the proof of the main conjecture for them.
  5. Takashi Hara: Iwasawa theory of totally real fields for non-commutative p-extensions of strictly upper triangular type,
    Iwasawa 2008,
    イルジー修道院 (ドイツ, アウグスブルク) 2008年 7月 3日.
    アブストラクト: Recently, Kazuya Kato has proven the Iwasawa main conjecture (in the sense of Coates, Fukaya, Kato, Sujatha and Venjakob) for non-commutative Galois extensions of &ldquo:Heisenberg type” of totally real algebraic fields. In this talk, we apply Kato's method to non-commutative p-extensions of “strictly upper triangular type.” This is another generalization of Kato's result than M. Kakde.
  6. 原 隆: Noncommutative Iwasawa theory of totally real fields,
    岩澤理論セミナー,
    慶応義塾大学, 2008年5月10日.
  7. 原 隆: 総実代数体のある非可換 p-拡大に対する岩澤理論,
    早稲田整数論セミナー,
    早稲田大学, 2008年 5月 9日.
    アブストラクト: 2005 年に Coates, Fukaya, Kato, Sujatha, Venjakob によって虚数乗法を持たない楕円曲線に対し非可換岩澤主予想が定式化されました. その後, 加藤和也氏は「非可換主予想を可換な拡大の主予想に帰着する」という Burns 氏の画期的なアイデアに基づいて, 総実代数体のハイゼンベルク型と呼ばれる非可換拡大に対し主予想を証明しています. 本講演では, 加藤氏の証明手法に基づいた, より複雑なある非可換 p-拡大に対する主予想の証明方法を解説します. 講演では非可換岩澤主予想の定式化及び Burns の手法の解説から始め, 特に加藤氏のハイゼンベルク型拡大では現れなかった困難な部分について時間の許す限り詳しくお話ししたいと思います.
  8. 原 隆: Iwasawa theory of totally real fields for certain non-commutative p-extensions,
    代数学コロキウム,
    東京大学, 2008年 4月 30日.
    アブストラクト: Recently, Kazuya Kato has proven the non-commutative Iwasawa main conjecture (in the sense of Coates, Fukaya, Kato, Sujatha and Venjakob) for non-commutative Galois extensions of “Heisenberg type” of totally real fields, using integral logarithmic homomorphisms. In this talk, we apply Kato's method to certain non-commutative p-extensions which are more complicated than those of Heisenberg type, and prove the main conjecture for them.
  9. 原 隆: 総実代数体の非可換岩澤理論の展開,
    第5回城崎新人セミナー,
    兵庫県豊岡市立城崎健康福祉センター, 2008年 2月 21日.
    アブストラクト: 近年 Coates 等によって非可換拡大に対する岩澤主予想が代数的 K-理論を用いて定式化され,加藤和也等によって特別な拡大に対して主予想が成立することが示されてきました. 本講演では, この非可換岩澤主予想を紹介し, 主予想の証明を可換な拡大の主予想に帰着させる Burns の画期的な手法を紹介します. 時間が許せば, 講演者が実際に Burns の手法を用いて得た結果についても紹介したいと思います. 非可換岩澤理論の魅惑の世界を少しでも感じ取っていただければ幸いです.