津田塾大学整数論ワークショップ 2026
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講演概要
講演者五十音順・敬称略.講演概要の印刷用 pdf ファイルはこちらからどうぞ→
記号凡例: ♭: 黒板での講演, ♯: プロジェクターでの講演
※ いずれの講演も,オンラインでの参加者には Zoom でのオンライン配信をいたします
正標数の体上で定義される超特異曲線・超特別曲線の存在性と非存在性
小笠原 匠 (横浜国立大学)♯
正標数の体上で定義される代数曲線のうち,超特異曲線・超特別曲線と呼ばれるものがある.これらは,正標数の楕円曲線の超特異性を任意種数の曲線(およびアーベル多様体)へ拡張した概念である.超特異曲線・超特別曲線は,正標数の曲線のモジュライ空間の構造を調べるうえで重要な対象であるだけでなく,近年は耐量子計算機暗号の一つである同種写像暗号への応用も期待されている.
講演者は,楕円曲線の二重被覆となる種数 $4$ の超特別曲線について,小さい標数での数え上げを行った.本講演では,この結果とあわせて,超特異曲線・超特別曲線の存在・非存在に関する研究課題を紹介する.
一般化マルコフ数とマルコフスペクトラム
行田 康晃 (名古屋大学)♯
古典的なマルコフ数とは,マルコフ方程式 $x^2 + y^2 + z^2 = 3xyz$ の正整数解に現れる整数であり,ディオファントス近似やラグランジュスペクトラムの離散部分と深く関係していることが 1880 年にマルコフによって明らかにされた.
本講演では,この関係を私が松下浩大氏と 2023 年に導入した一般化マルコフ方程式 $x^2 + y^2 + z^2 + k_1 yz + k_2 zx + k_3 xy = (3 + k_1 + k_2 + k_3)xyz$ の枠組みへ拡張する方法を解説する.ここで $k_1, k_2, k_3$ は非負整数であり,その正整数解に現れる整数を一般化マルコフ数と呼ぶ.主定理として,$(k_1, k_2, k_3)$ 一般化マルコフ数 $n$ とその現れる位置 $i$ から定まる量 $\dfrac{\sqrt{((3 + k_1 + k_2 + k_3)n - k_i)^2 - 4}}{n}$ が,ある二次無理数のラグランジュ定数として実現されることを紹介する.
Euler–Kronecker 定数の値の分布について
戸澗 勇一郎 (早稲田大学)♯
Euler–Kronecker 定数とは,2000 年代に伊原康隆氏によって導入された Euler–Mascheroni 定数の代数体への一般化である.本講演では Euler–Kronecker 定数の値の分布に関する研究の進展と,最近得られた結果について紹介したい.
GKZ systems and Gauss–Manin connections of projective hypersurfaces
根岸 崚 (立教大学)♭
代数多様体族の周期が満たす微分方程式である Gauss–Manin 接続 (Picard–Fuchs 方程式) は,代数幾何学における古典的な研究対象であり,数論幾何学においても重要な対象である.例えば,Legendre 族の Gauss–Manin 接続は超幾何微分方程式となり,その良還元における超特異性や Frobenius 作用を超幾何関数により記述できる. 一般の射影超曲面の族を考えたとき,その周期は超幾何微分方程式のある種の一般化である GKZ 系と呼ばれる偏微分方程式系を満たすことが知られている.しかし,ここで現れる GKZ 系は周期以外も解に含む可約な微分方程式系となる. 本講演では,ファイバーに Fermat 超曲面を含む射影超曲面族について,GKZ 系の周期に対応する部分を記述する結果を紹介する.
パーフェクトイド塔の理論について
林 和輝 (東京科学大学)♭
P. Scholze に始まるパーフェクトイド環の理論は,数論幾何にとどまらず混標数の数学における強力な枠組みとして研究者を惹きつけてきた.その自然な展開として,パーフェクトイド環を生み出す環の塔を研究対象とするパーフェクトイド塔の理論が伊城慎之介–仲里渓–下元数馬によって導入された.個々のパーフェクトイド環だけでなく,その背後にある塔の構造に着目することで,どのような現象を新たに捉えることができるのであろうか.また,この理論は混標数の諸問題に対する新たな手段となりうるのであろうか.パーフェクトイド塔の理論はいまだ発展途上であり,明らかにすべき多くの課題が残されている.本講演では,これらの課題を概観したうえで,関連する講演者の結果を紹介する.
t.b.a.
原田 遼太郎 (東京理科大学)♭
t.b.a.
宮崎 雅哉 (九州大学)♯
On the Grothendieck conjecture in anabelian geometry
山口 永悟 (東京電機大学)♯
The Grothendieck conjecture is a central problem in anabelian geometry. It asserts that, under suitable hypotheses on the base field, hyperbolic curves are determined up to isomorphism by their arithmetic fundamental groups. The conjecture has been proved in various settings by H. Nakamura, A. Tamagawa, and S. Mochizuki. A natural refinement asks whether the same reconstruction is possible using only the geometrically finite-step solvable quotients of these groups. In this talk, I will introduce several results for the Grothendieck conjecture in anabelian geometry and present my result on this refinement.
q-Witt 理論と葉廣コホモロジー
山田 雄斗 (東京科学大学)♭
まず,Wagner による $q$-Witt 理論を,新しい概念でもあるので例などを挙げつつ,概説する.また,古典的な $q$ 類似との関連も紹介しつつ,そこで現れる大域的な対象である Habiro–Hodge 複体を導入する.最後に,自身の定義した Habiro–Hodge 複体に自然に定まるフィルトレーションを導入して,これの性質を確認する.
t.b.a.
横溝 真紘 (東北大学)♭