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4年セミナー Seminar Ⅳ
津田塾大学学芸学部 数学科 4年 (火曜3, 4限)
担当: 原 隆
場所: 3限 7号館7404教室 4限 7号館 7311教室
講義内容 (シラバスより):
代数方程式の根の公式にまつわる話題を輪講形式で学習する.また,学生生活の総決算として,これまでに学習してきた知識をもとに卒業研究に取り組む.
テキストを通して扱われる話題は代数方程式である.中学校で学習する2次方程式の根の公式を皮切りに,3次方程式の根の公式はタルターリア,カルダーノ等によって,4次方程式の根の公式はフェラーリによって発見されるに至ったが,5次以上の代数方程式の根の公式は長らく発見されることはなかった.そしてついにルフィニおよびアーベルによって,5次以上の代数方程式には (冪根をとる操作と加減乗除により記述される) 根の公式が存在しないことが示されるに至ったのである.現在では体論 (ガロワ理論) の一環として扱われることの多い話題であるが,このテキストセミナーでは代数方程式そのものを主役に設定し,根の対称性の観点からルフィニ,アーベルの定理の理解を目指す.さらには,「5次方程式には (冪根による) 根の公式は存在しない」という結果に留まらず,楕円関数による5次方程式の根の記述 (エルミートの定理) といったより進んだ興味深いテーマについても触れる予定である.テキストセミナーに参加しながらそれぞれ興味のあるテーマを探し,(必要ならばグループに分かれて) もう少し詳しく掘り下げた上で,自由に卒業論文にまとめてもらいたい.
教科書: 今野 一宏著『代数方程式のはなし A Dogmatic Introduction to Algebraic Equations』内田老鶴圃
このページには主にセミナーの進捗状況を記録していきます (個人的な備忘録のようなものです)。
お知らせ / 更新履歴
- 12月33日 12月3日 (火) までのセミナーの内容を更新しました。
- 11月19日 11月19日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 11月6日 10月22日 (火),11月5日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 10月15日 10月15日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 10月8日 10月8日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 9月24日 9月24日 (火) のセミナーの内容を更新しました。次週 (10/1) は 休講 です!!
- 9月10日 9月10日 (火) のセミナーの内容を更新しました。次週 (9/17) は出張のため 休講 です!!
- 9月3日 9月3日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 6月11日 6月11日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 6月4日 6月4日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 5月21日 5月14日, 21日 (火) のセミナーの内容を更新しました。次回 (28日) は 休講 です!!
- 5月7日 5月7日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 4月30日 4月30日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 4月23日 4月23日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 4月17日 4月16日 (火) のセミナーの内容を更新しました。
- 4月16日 セミナーの注意事項等のプリントをアップロードしました。
- セミナーの初回は 4月16日 (火) です。
進捗状況
4年セミナー予定表 (履修者のみ閲覧可 / gm.tsuda.ac.jp アカウントにログインした上でご覧下さい)
事前に読んでおいてください
- 2024年12月3日 (水)
- 論文の構成について,卒業論文執筆作業
- 2024年11月26日 (火)
- 津田塾大学・日本女子大学 整数論共同セミナー (杉山倫さんとの共同開催) ※ 授業は休校
- 2024年11月19日 (火)
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- 第9章 楕円関数と5次方程式 (続)
- 9.3 テータ関数
- 9.4 5次方程式を解く
- モジュラー方程式の解と φ(τ)
- 楕円関数を用いた5次方程式の解の公式 (エルミートの方法の概説)
- 2024年11月12日 (火)
- 休校日
- 2024年11月5日 (火)
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- 第8章 チルンハウス変換 (続)
- 8.4 ブリングとジェラードの試み — 4次チルンハウス変換と5次方程式のブリング・ジェラード標準形
- 第9章 楕円関数と5次方程式
- 9.1 楕円関数
- ヤコビの楕円関数の定義と加法定理
- [補足] レムニスケートの弧長積分と楕円関数 (レムニスケート関数)
- 9.2 ヤコビの変換原理
- ヤコビの変換原理 (定理9.2) とその証明の方針
- ヤコビの変換原理を用いたヤコビ正弦関数の5倍公式の導出とモジュラー方程式
- 2024年10月29日 (火)
- 休講 (補講日)
- 2024年10月22日 (火)
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- 第7章 根の公式は不可能 (続)
- 7.5 アーベルの補題 (続)
- 1の p 羃根が整数環上線形独立であること (補題7.2)
- 第8章 チルンハウス変換
- 8.1 ガロア — 5次方程式の楕円モジュラー関数を用いた解法を尋ねて
- 8.2 ニュートンの公式 — 羃乗和対称式のなす漸化式
- 8.3 チルンハウスのアプローチ — 2次式による変数変換を用いて5次方程式の3次の項を消去する
- 2024年10月15日 (火)
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- 第7章 根の公式は不可能 (続)
- 7.5 アーベルの補題
- 主張1: 根の線形表示の1次の項の係数を1に正規化できる
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- 主張2: 最後に付け加えた羃根と,根の線形表示の係数は根と1の羃根の有理式で表せる
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- 主張3: 途中で付け加えた羃根も,根と1の羃根の有理式で表せる
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- アーベルの補題とルフィニ–アーベルの定理
- 2024年10月8日 (火)
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- 第7章 根の公式は不可能 (続)
- 7.2 ラグランジュの省察 (続)
- 根の置換の観点から見た3次方程式,4次方程式の解法
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- 第6章 根の置換と対称式 (続)
- 6.3 対称有理式と交代有理式
- 交代式が対称式と差積の積で表されること (補題6.6)
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- 2024年10月1日 (火)
- 休講
- 2024年9月24日 (火)
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- 第7章 根の公式は不可能 (続)
- 7.3 対称性を壊すもの
- 差積を含めることで,「偶置換での不変性」を壊すことに帰着
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- 奇素数乗根を含めることで得られる不変性
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- 偶置換による対称性を崩すためには,3乗根の添加が必要
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- n=2,3,4 のときの例
- 7.4 もう対称性は崩せない (ルフィニの定理)
- ルフィニの定理の主張とその証明
- ルフィニの定理の何が不十分か? — 羃が根の有理式で表されるか?
- 2024年9月17日 (火)
- 出張のため 休講
- 2024年9月10日 (火)
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- 第6章 根の置換と対称式 (続)
- 6.2 置換と対称式 (続)
- 交代群と交代式
- 任意の置換が (1 j) 型の互換の積となること,偶置換が長さ3の巡回置換の積で表されること
- 6.3 対称有理式と交代有理式
- 交代群の作用で不変な多項式の集合は,対称式のなす環上1と差積を基底とする自由加群となる
- 対称有理式は対称式の比で表される
- 交代有理式は対称有理式と差積の積で表される
- 第7章 根の公式は不可能
- 7.1 根の公式
- 根の公式=基本対称式を既知として,基本対称式を構成する未知数を求める方法
- 7.2 ラグランジュの省察
- 対称性を崩す操作=「べき根をとる」操作
- 2次方程式の場合
- 2024年9月3日 (火)
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- 第6章 根の置換と対称式
- 6.1 根と係数の関係: 多項式の係数は,根の基本対称式で表される
- 6.2 置換と対称式
- 対称式の基本定理: 任意の対称式は基本対称式の多項式として表される
- 対称式の判定法: x1 と xi (i=2,3,...,n) の入れ換えで不変なら対称式
- 置換と対称群の基本事項
- 任意の置換は互換の積で表される
- 対称群の多項式への作用,対称式と交代式
- 2024年6月11日 (火)
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- 代数学の基本定理について (代数的証明)
- 体の拡大のと拡大次数,拡大次数の乗法性
- 代数的拡大と超越拡大,有限次拡大は代数的拡大
- 代数的数の最小多項式の存在と一意性
- 単拡大について
- 2024年6月11日 (火)
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補講日のため 授業なし
- 2024年6月4日 (火)
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- 代数学の基本定理について
- Argan の証明: 羃乗根の存在を用いた評価式の利用
- 複素解析的な証明
- コーシーの積分公式とリュービルの定理
- リュービルの定理による代数学の基本定理の証明
- 2024年5月28日 (火)
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休講
- 2024年5月21日 (火)
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- 第5章 複素数の威力 (続)
- 5.2 代数学の基本定理 (続)
- 5.2.1 証明 (続) — 証明の完成,微積分との関係
- 5.2.2 ガウスに至るまで
- 代数学の基本定理の原型の命題: 実数係数の多項式は (実数の範囲で) 1次式と2次式の積で表される
- 代数学の基本定理の別証明: 幾何的な証明 (回転数による)
- 2024年5月14日 (火)
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- 第5章 複素数の威力
- 5.1 正17角形の作図
- 5.1.1 ガウスの着想 — cos (2π/17), sin (2π/17) が整数の加減乗除と平方根を取る操作のみで表されること
- 5.1.2 作図の実際 — 正17角形の作図法
- 5.2 代数学の基本定理
- 代数学の基本定理の主張
- 5.2.1 証明 — 補題5.4 の証明の途中まで
- 2024年5月7日 (火)
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- 第4章 4次方程式 (続)
- 4.2 デカルトの解法: 4次方程式を2次式の積に (無理矢理) 分解する
- 4.3 オイラーの解法: 4次方程式を1次式の積に分解する
- 4.4 巡回行列による解法
- 巡回行列の定義と性質
- 任意の多項式は巡回行列の特性多項式で表される
- 巡回行列の固有値 (証明は第5章)
- 4次方程式の解法と,これまでの方法との対応
- 2024年4月30日 (火)
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- 第3章 3次方程式 (続)
- 3.3 残りの根は?
- Y3=a の形の3次方程式の解
- 3次方程式の3つの解 — 1の3乗根 ω を用いて
- カルダノの公式の計算例とボンベリの方法
- 3.4 カルダノの公式の弱点
- カルダノの公式の弱点: 実根が虚数を用いて実現されている
- ボンベリの方法: 複素数を “形式的に” 導入して3乗根を計算する
- ヴィエトの方法: 3角関数の3倍角の公式を利用する
- 第4章 4次方程式
- 2024年4月23日 (火)
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- 第2章 ギリシャの数学 (続)
- 2.2 ギリシャの3大作図問題 (続)
目盛のない定規とコンパス以外のものを用いた角の3等分の作図法: 折り紙を用いる方法
- 2.3 ユークリッドの互除法
- 互除法の原理: a≡a' (mod b) ならば GCD(a,b)=GCD(a',b)
- ユークリッドの互除法のアルゴリズム
- 最大公約数の線形結合表示 (ベズーの補題)
- 第3章 3次方程式
- 3.1 デル・フェッロとタルターリャの解法
- デル・フェッロ,タルターリャの解法: p3 と q3 を根に持つ2次方程式に帰着する
- 3.2 カルダノ変換
- カルダノ変換: 次数が高い方から2番目の項を消す方法
- 2024年4月16日 (火)
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- 第1章 2次方程式
- 1.1 縄張師 エジプト縄と等周長方形
- 1.2 バビロニアの秘術 バビロニアにおける2次方程式の解法
- 1.3 バビロニアの平方根 平方根の近似値をどうやって計算するか: 中間値と比較する
- 1.4 開平法 開平法による平方根の計算方法
- 第2章 ギリシャの数学
- 2.1 ピタゴラス教団 正5角形の作図法など
- 2.2 ギリシャの3大作図問題 立方倍積問題,角の3等分問題,円積問題
目盛のない定規とコンパス以外のものを用いた角の3等分の作図法: 目盛のある定規を用いる方法,リマソン (蝸牛曲線) を用いる方法 [折り紙を用いる方法は次回]
セミナー日程
第1ターム
4月 2日 (春季休暇), 9日 (オリエンテーション期間), 16日, 23日, 30日
5月 7日, 14日, 21日, 28日
6月 4日, 11日 (補講日), 18日 (第1ターム最終授業日)
第3ターム
9月 3日, 10日, 17日, 24日
10月 1日, 8日, 15日, 22日, 29日 (補講日)
11月 5日 (第3ターム最終授業日)
第4ターム
11月 12日 (休校日), 19日, 26日
12月 3日, 10日, 17日, 24日, 31日 (冬期休暇)
1月 7日, 14日, 21日 (補講日), 28日 (第4ターム授業最終週)