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数学特論XA / 数学特別講義ⅢA Advanced Topics on Mathematics XA / Special Lecture in Mathematics ⅢA
津田塾大学学芸学部数学科4年 / 大学院理学研究科数学専攻
担当: 原 隆
場所: 7号館3階 7306教室
講義内容 (シラバスより):
代数的整数論の入門的事項について解説を行う.
代数的整数 algebraic integers とは、我々が慣れ親しんだ整数の概念を,有理数体の有限次拡大に拡張した概念であり,ガウスの整数やアイゼンシュタインの整数はその代表例としてよく知られている.ディオファントス方程式 (フェルマーの最終定理など) のような整数問題を解く際の補助的な道具として導入された側面が強い概念ではあるが,代数的整数の世界 (代数的整数環) では通常の整数の世界では起こらなかった現象が幾つも観察され,それ自体が非常に興味深い研究対象である.本講義では,代数的整数の基本的な性質・構造を,なるべく多くの具体例も交えつつ紹介していく予定である.代数的整数の定義から始め,代数的整数環の基本性質 (素イデアル分解の存在と一意性,イデアル類群の有限性,ディリクレの単数定理) を理解することを当面の目標として講義を進める.時間が許せば素イデアルの分岐に関する基本事項 (ヒルベルトの分岐理論) の入門的な内容も扱いたい.
教科書: 特に指定しない
参考書: 必要に応じて講義期間中に紹介します
このページには主に講義のメモ (個人的な備忘録に近いです) 及び配布物等を掲載してゆく予定です。
お知らせ / 更新履歴
- 7月18日
7月18日の講義内容を更新しました.次週 (7月25日) は 休講 としますのでお間違えなく!!
- 7月11日
7月11日の講義内容を更新しました.
- 7月4日
7月4日の講義内容を更新しました.
- 6月30日
6月27日の講義内容を更新しました.
- 6月20日
6月20日の講義内容を更新しました.
- 6月6日
6月6日の講義内容を更新しました.次回 (6/13) は休校日のため 授業はありません!!
- 5月30日
5月30日の講義内容を更新しました.
- 5月23日
5月23日の講義内容を更新しました.
- 5月16日
5月16日の講義内容を更新しました.
- 5月9日
5月9日の講義内容を更新しました.
- 5月2日
5月2日の講義内容を更新しました.
- 4月25日
4月25日の講義内容を更新しました.
- 4月18日
4月18日の講義内容を更新しました.
- 初回の講義は 4月18日 (木) です.
講義内容
ガイダンス資料
- 2024年7月18日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- ミンコフスキーの “数の幾何学” (続)
- ユークリッド空間の格子の定義と性質
- 格子の基本領域とその体積
- ミンコフスキーの格子点定理とその図形的意味
- 代数体のミンコフスキー埋め込み
- 代数体のミンコフスキー埋め込みの定義: 共役を用いて Cn に埋め込む
- ミンコフスキー空間の定義と,エルミート内積から誘導される内積構造
- 2024年7月11日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- 素イデアル分解の存在と一意性定理 (イデアル論の基本定理) (続)
- イデアル類群とその有限性
- 分数イデアルの定義と例
- 分数イデアル群と単項分数イデアル群,イデアル類群
- 定理: 代数体のイデアル類群は有限群
- イデアル類群と類数に関する補遺
- ミンコフスキーの “数の幾何学”
- 複素平面の格子点としてのガウスの整数,アイゼンシュタインの整数
- ミンコフスキーのアイデア: 代数的整数環を何らかの空間の格子点と見做す
- 最終課題 (レポート課題12) 最終授業までに提出
- 2024年7月4日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- 素イデアル分解の存在と一意性定理 (イデアル論の基本定理)
- 定理の主張: (0), (1) 以外の任意のイデアルは,素イデアルの積に一意的に分解される
- 代数的整数環の重要な性質1: 剰余環の有限性,代数的整数環のネーター性
- ネーター整域についての補足
- 代数的整数環の重要な性質2: (0) 以外の素イデアルは極大イデアル
- デデキント整域の定義: 「素イデアル分解の存在と一意性」が成り立つ環の公理的定式化
- 補題1: (0), (1) でない任意のイデアルは素イデアルの有限積を含む
- 補題2: 素イデアルの逆イデアルと任意のイデアルの積は,元のイデアルより真に大きい
(主定理の証明は次回に回します)
- レポート課題11 次回の授業時に提出
- 2024年6月27日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- 代数的整数環の構造と判別式 (続)
- デデキントの反例: 羃整基底を持たない3次整数環
- 整数環の部分加群の生成元に関する判別式と,部分加群の指数の関係 — 単因子論の応用
- デデキントの3次整数環が羃整基底を持たないことの証明: 判別式の計算に帰着する
- レポート課題10 次回の授業時に提出
- 2024年6月20日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- 代数的整数環 (続)
- 代数的整数の集合が環であることの証明
- 整基底の定義と例 (2次体の場合)
- 判別式の2通りの定義と同値性
- 判別式の例: 2次体の場合
- 判別式の性質: 線形独立な元を取り換えたときの振舞い
- 定理: 判別式の絶対値が最小となるような整数環 (またはイデアル) の元は整基底をなす (特に整基底は存在する)
- 代数的整数環の構造と判別式
- 羃整基底および正規整基底の定義
- 羃整基底および正規整基底は存在するとは限らない (詳細は次回)
- レポート課題9 次回の授業時に提出
- 2024年6月13日 (木)
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休校日のため 授業はありません!!
- 2024年6月6日 (木)
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- 代数体の整数論 (続)
- 代数体 (続)
- 共役根,共役元,ノルムとトレースの定義
- ノルムとトレースが有理数となること: 対称式の性質を用いて
- 代数的整数環
- 代数体 K の整数の定義: K の元で最高次係数が1の整数係数多項式の根となるもの
- 定理: 代数的整数の集合は環である (証明は次回)
- 補題: 代数的整数であることの判定条件
- レポート課題8 次回の授業時に提出
- 2024年5月30日 (木)
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- 2次体の整数論 (続)
- 2次体のイデアル論 (続)
- イデアルノルムの存在定理の証明
- イデアルの整除と包含関係の同値性の証明
- 代数体の整数論
- 代数体
- 代数的数の定義
- 有理数体に代数的数を添加した集合が体となること — 実例を中心に
- レポート課題7 翌週の授業時に提出
※ II (2) は問題に不備がありましたので カット します
- 2024年5月23日 (木)
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- 2次体の整数論 (続)
- 2次体のイデアル論 (続)
- イデアルの定義と例
- 素イデアルと極大イデアル,極大イデアルの存在
- 素イデアル分解の存在と一意性の主張
- 鍵となる事実1: イデアルノルムの存在
- 鍵となる事実2: イデアルの整除と包含関係
- 鍵となる事実3: 素イデアルに関する一般化ユークリッドの補題
- 素イデアル分解の存在と一意性定理の証明
- 一般化ユークリッドの補題の証明
- レポート課題6 翌週の授業時に提出
- 2024年5月16日 (木)
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- 2次体の整数論 (続)
- 2次体のイデアル論
- 2通りの“素因数分解”が存在する例
- クンマーによる “理想数” のアイデア
- デデキントのイデアル論 — 数から「数の集合」へ
- 単項イデアルおよび,複数の元が生成するイデアルの定義と簡単な性質
- イデアルの積の定義 (簡易版)
- 最初の例のイデアル論的解釈
- レポート課題5 翌週の授業時に提出
- 2024年5月9日 (木)
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- 2次体の整数論 (続)
- 2次体の単数 (続)
- 実2次体の単数群の構造定理の証明2: 1より大きい単数の構成
ディリクレの近似定理を駆使して近似整数組を無限個作り,鳩の巣論法を2回用いる
- 実2次体の単数群の構造定理の証明3: 基本単数の存在
1より大きく,構成した単数より小さい単数が有限個であることを示す (レポート)
- 実2次体の単数群の構造定理の証明4: 基本単数ですべての単数が表されること
基本単数の最小性を利用した議論
- レポート課題4 翌週の授業時に提出
- 2024年5月2日 (木)
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- 2次体の整数論 (続)
- 2次体の単数 (続)
- 2次体のノルムとトレース (復習)
- 虚2次体の単数群は有限群
- 実2次体の単数群とペル方程式
- 実2次体の単数群の構造: {±1} と無限巡回群の直積
- 実2次体の単数群の構造定理の証明1: ディリクレの近似定理と鳩の巣論法
- レポート課題3 翌週の授業時に提出
- 2024年4月25日 (木)
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- 2次体の整数論
- 2次体の整数環
- 2次体の定義
- 2次体の元の最小多項式
- 2次体の整数環の定義: 2次体の元で,最小多項式が整数係数となるもの
- 2次体の整数環の構造: m を 4 で割った余りによって変わる
- 例: アイゼンシュタインの整数環
- 2次体の単数
- 2次体の単数群の定義
- ノルムとトレース, 単数であるための必要十分条件はノルムが±1であること
- レポート課題2 翌週の授業時に提出
- 2024年4月18日 (木)
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- 導入: 整数の世界の拡大と整数論
- フェルマーの2平方和定理とガウスの整数
- フェルマーの2平方和定理の主張と例
- ガウスの整数の定義とフェルマーの2平方和定理との関係
- ノルム写像の定義とガウスの単数
- ガウスの素数の定義と一般化ユークリッドの補題
- フェルマーの2平方和定理の証明 (ガウスの素数の性質を用いて)
- レポート課題1 翌週の授業時に提出
講義日程
前期
4月 4日 (春季休校期間), 11日 (オリエンテーション期間), 18日, 25日
5月 2日, 9日, 16日, 23日
6月 30日, 13日 (休校日), 20日 (第1ターム授業最終週), 27日
7月 4日, 11日, 18日, 25日
8月 1日