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代数学Ⅰ Algebra Ⅰ
中央大学理工学部 数学科 2年 (金曜3限,4限)
担当: 原 隆
場所: 5号館 5335教室
講義内容 (シラバスより):
線形代数学1,2および代数学序論で履修した内容を基礎として,群について学ぶ.群は代数学にとどまらず,現代数学一般および理論物理学において本質的な役割を果たす重要概念である.具体的な例としては,置換がなす群と正則行列からなる群が基本である.
群を通じて,一般化と抽象化によって本質を明らかにする代数学的方法の一端に触れてほしい.しかし一般的抽象的な命題を真に理解するためには,具体的な例を手を動かして計算してみることが欠かせない.そのような訓練として,講義の進行に応じて中間試験を行う.
参考書: 原隆著 『手を動かしてまなぶ 群論』 (裳華房)
このページには主に講義のメモ (個人的な備忘録に近いです) 及び配布物等を掲載してゆく予定です.
お知らせ / 更新履歴
- 12月3日 11月29日までの講義内容を公開しました.
- 11月19日 11月15日の講義内容を公開しました.
- 10月28日 10月18日, 25日の講義内容を公開しました。次回 (11/1) は白門祭準備のため 休校,その翌週 (11/8) は 中間考査 です!!
- 10月15日 10月11日の講義内容を公開しました。
- 10月4日 10月4日の講義内容を公開しました。
- 9月21日 9月20日 (金) の講義内容を公開しました。
- 初回講義は 9月20日 (金) です.
参考資料一覧
講義内容
- 2024年11月29日 (金)
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- 群の作用と軌道分解 (続)
- 正則作用とケーリーの定理
- (左) 正則作用および付随する置換表現の定義と例
- 演習: 正則作用に付随する置換表現の計算
- ケーリーの定理: すべての有限群は,対称群の部分群と同型
- ケーリーの定理の証明
- 応用: 商集合への正則作用
- 共役作用と共役類
- 共役作用の定義
- 共役類 (軌道) と中心化群 (固定部分群),中心の定義
- 共役類と中心化群の関係 (軌道・固定部分群定理),類等式
- 例0: アーベル群の共役類はすべて1元
- 例1: 3次対称群の共役類分解
- 対称群の共役類
- 置換の巡回置換型の定義,巡回置換型と整数の分割数の関係
- 命題: 2つの置換が同じ共役類に属することと,型が一致することは同値 (証明は次回)
- 例: 4次巡回置換の巡回置換型による類別
- 小レポート9 (対称群の共役類,商集合への左正則作用と置換表現)
提出締切: 12月3日 (火) 23:59 manaba に提出してください.
- 2024年11月22日 (金)
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- 群の作用と軌道分解
- 群作用の定義と例
- 群の (左 / 右) 作用の定義
- 群の作用の例: 対称群の置換作用,一般線形群の数ベクトル空間への標準作用
- 軌道,固定部分群,軌道分解の定義
- 軌道分解の例 (座標平面への実数体の加法群, 乗法群の作用)
- 集合に群作用を導入することで,“無個性”な集合に“個性”が生まれる!!
- 軌道・固定部分群定理
- 軌道・固定部分群定理の主張
- 軌道・固定部分群定理の意味と証明について (特に写像の無矛盾性について)
- 群の作用の例 (続): 場所の入れ換え作用
- 同じものを含む順列と軌道・固定部分群定理の関係について
- 小レポート8 (群の作用と軌道分解)
提出締切: 12月26日 (火) 23:59 manaba に提出してください.
- 2024年11月15日 (金)
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- 群の剰余類分割と準同型定理 (続)
- 群準同型定理とその応用
- 群準同型定理の主張と意味: 準同型写像を同型写像に “加工する”
- 群準同型定理の証明
矛盾なく定義されること,準同型性,全射性,単射を定義にしたがって示す
- 例: 2乗写像と半直線の2重被覆,指数写像と1の n 乗根のなす群,
ボレル部分群を対角成分が等しい上三角行列のなす部分群で割った剰余群
- 演習問題: 行列式写像,符号写像,平面ベクトルの空間を対角集合で割った剰余群,すべての巡回群は Z/nZ と同型,など
- 連立1次合同式と中国式剰余定理
- 孫子算経の問題と連立1次合同式
- 中国式剰余定理: 連立1次合同式の解の存在と一意性
- 中国式剰余定理 (群論版): 加法群 (Z/nZ,+) の直積分解として
- 中国式剰余定理 (群論版) の証明の概要: 群準同型定理を用いて
- 小レポート7 (群準同型定理とその応用)
提出締切: 11月19日 (火) 23:59 manaba に提出してください.
- 2024年11月8日 (金)
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- 2024年11月1日 (金)
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休校日 (白門祭準備)
- 2024年10月25日 (金)
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- 群の剰余類分割と準同型定理 (続)
- 正規部分群と剰余群
- 剰余類上の群演算が well-defined になるための条件は?
- 正規部分群の定義
- 正規部分群の例 (アーベル群の部分群,一般線形群の特殊線形群,対称群の交代群など)
- 剰余群の定義: 正規部分群に関する剰余類に演算を定義する
- 剰余群の計算例 (動画試聴によりオンデマンド)
- 小レポート6 (剰余群の演算)
提出締切: 10月29日 (火) 23:59 manaba に提出してください。
- 2024年10月18日 (金)
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- 群の剰余類分割と準同型定理 (続)
- 剰余類分割とラグランジュの定理
- 剰余類の性質
- どの (左/右) 剰余類も位数は等しい
- (左/右剰余類は一般には異なる集合となるが) 左/右剰余類の個数は一致する: 部分群の指数
- ラグランジュの定理 #G=(G:H)#H
特に有限群の部分群の位数は,元の群の位数の約数となる
- 剰余群の構成に向けて
- 合同演算 (合同式の演算) の復習; 合同な数を「自由に取り換えて」計算する
- 剰余類の演算が「矛盾なく定義される」とは
- 剰余類の演算が矛盾なく定義されない例
- 小レポート5 (群の剰余類分割とラグランジュの定理,剰余類の演算の無矛盾性)
提出締切: 10月22日 (火) 23:59 manaba に提出してください。
- 2024年10月11日 (金)
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- 群と準同型写像 (続)
- 準同型写像と同型写像 (続)
- 準同型写像の核と像 (復習) およびその性質
- 練習問題: 準同型写像の核と像
- 準同型定理に向けて: 準同型写像を同型写像に “加工” するためには
「f で移すと同じ元と対応する元の集合」でグループ分けして,「グループの集合」に群演算を導入する
- 群の剰余類分割と群準同型定理
- 群の剰余類分割 — “合同演算” を群で考える
- 部分群の定める同値関係 — 左合同と右合同
- 左/右合同関係の同値類=左/右剰余類
- 群の左/右剰余類分割
- 練習問題: 群の剰余類分割
- 小レポート4 (集合の同値関係と同値類,4次交代群の剰余類分割)
提出締切: 10月15日 (火) 23:59 manaba に提出してください。
- 2024年10月4日 (金)
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- 群と準同型写像 (続)
- 元の位数 (続)
- 命題: 元の位数の性質 (続),3次対称群のときの例 (他の例は manaba の動画資料を参照)
- 系: 有限群が巡回群であるための必要十分条件は,その群の位数と同じ位数を持つ元が存在すること
- 同型写像と準同型写像 — 群を比較する
- 例: 3つの位数4の群の比較 —演算表を比べてみる
- 「群を比較する」とはどういうことか?
- 同型写像,群の同型の定義
- 群準同型写像,準同型写像の核と像の定義 (例題は manaba の動画資料を参照)
- 小レポート3 (群の元の位数,準同型写像の像と核)
提出締切: 10月8日 (火) 23:59 manaba に提出してください。
- 2024年9月27日 (火)
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- 群と準同型写像 (続)
- 部分群
- 部分群の定義
- 部分群となる例,部分群とならない例 (偶数の集合と奇数の集合)
- 部分集合が部分群であるかどうかの判定条件
- 例題: 部分集合が部分群であるかの判定,特殊線形群と直交群
- 部分集合が生成する部分群
- 部分集合が生成する部分群〈S〉とその例
- 群の生成系の定義と例,有限生成な群と有限生成でない群
- 〈S〉が S を含む最小の部分群であることとその証明
- 巡回群
- 巡回群の定義: 1つの元 (からなる集合) により生成される群
- 巡回群の例: Z (加法群),1の n 乗根のなす群
- 有限巡回群と無限巡回群のイメージ
- 群の元の位数
- 群の元 x の位数の定義: x の生成する部分群〈x〉の位数
- 元の位数の言い換え: x*m=e となる最小の自然数
- 命題: 元の位数の性質 (途中まで証明)
- 小レポート2 (部分群の判定,3次対称群の部分集合が生成する部分群)
提出締切: 10月2日 (水) 23:59 manaba に提出してください。
- 2024年9月20日 (金)
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- イントロダクション
群 (,環,体) とはどのようなものか? なぜ群論を学ぶのか? − 群の概念の成立と近代数学の発展の観点から
- 群と準同型写像
- 群の定義と例
- 群=集合+演算
- 群の定義: (G1) 単位元の存在 (G2) 逆元の存在 (G3) 結合法則
- 群の例: 加法群と乗法群
- 0を除く整数の集合が乗法に関して群とならないのは何故か
- 交換法則とアーベル群,非可換群の例1: 一般線形群
- 非可換群の例2: n 次対称群
置換とその積の定義,n 次置換の集合が群をなすこと,任意の置換が互換の積で表されること
- 小レポート1 (群の定義と例)
提出締切: 9月24日 (火) 23:59 manaba に提出してください.
講義日程
9月 20日, 27日
10月 4日, 11日, 18日, 25日
11月 1日 (休講日 / 白門祭準備),8日,15日,22日,29日
12月 6日,13日,20日,27日 (冬季休業)
1月 3日 (冬季休業),10日,17日 (休講日),24日 (試験実施予定)