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数理基幹特論Ⅲ / 数理科学特論Ⅳ Advanced Topics on Pure Mathematics Ⅲ / Advanced Topics on Mathematical Sciences Ⅳ
島根大学総合理工学部3,4年 / 大学院自然科学研究科1,2年 (集中講義)
担当: 原 隆
場所: 総合理工学部 1号館6階 数学第2講義室
講義内容 (シラバスより):
イデアル類群 (代数的対象) とゼータ関数 / L 関数の特殊値 (解析的対象) という,一見するとまったく無関係に見える2つの対象の間に横たわる不思議な関係を観察し,その面白さを体感することを目的に講義を行います.
参考書:
- L. C. Washington, Introduction to Cyclotomic Fields (Second Edition), Springer–Verlag, 1996.
- 2003年度整数論サマースクール『岩澤理論』報告集
- 原 隆,数の世界の千一夜,日本評論社『数学セミナー』連載記事 (2022年4月号〜2023年3月号)
その他,必要に応じて講義基幹中に紹介する予定です.
このページには主に講義のメモ (個人的な備忘録に近いです) 及び配布物等を掲載してゆく予定です。
お知らせ / 更新履歴
- 8月29日 講義概要をすべて公開しました.
- 8月28日 レポート課題をすべて公開しました.締切は下記の通りです.
- 8月26日 レポート課題 [DAY2] の問題文を1部修正しました.ご確認ください.
- 講義期間は 8月21日 (月)〜8月25日 (金),開講時間帯は各日2コマ (3,4時限), 3コマ (5,6時限), 4コマ (7,8時限) です (水曜日は3,4コマのみ)
講義の成績評価について
レポートにて成績をつけます.詳細はまた改めて連絡いたします.
8月22日追記 レポートは,講義終了後,(5日分まとめて) 所定の期限 (9月中旬頃の予定) までに青木先生宛に提出していただく形になると思います.レポート提出期限,提出方法については決まり次第連絡いたします.
8月25日追記 レポート提出期限: 9月15日 (金) 提出先: 学生センター1階 レポートBoX 1
※ 夏季休業中の学生センター開館時間は 平日 8:30—17:00 となっていますので,お気をつけ下さい.
8月28日追記 唯一未公開状態であったレポート問題4を公開しました.お待たせして申し訳ございません.今後,問題文の修正を除くレポート問題の更新は予定しておりません.
講義内容
- 2023年8月25日 (金)
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- イデアル類群とゼータ関数の不思議な関係 (続)
- スティッケルベルガーの定理
- スティッケルベルガー元の定義と整性
- スティッケルベルガー元とディリクレ L 関数の 0 での値との関係
- スティッケルベルガーの定理の主張: スティッケルベルガー元 (の分母を払ったもの) はイデアル類群を零化する
- p 分体に対するスティッケルベルガーの定理の証明: ガウス和の素イデアル分解を用いる
- スティッケルベルガーの定理の一般化としてのブルーマー予想
- エルブラン–リベの定理とその後の発展
- イデアル類群の指標分解とエルブランの定理: スティッケルベルガーの定理の帰結として
- リベの定理 (=エルブランの定理の逆) の主張
- リベの定理の2つの証明法 (1): アイゼンシュタイン合同式の手法について (リベの証明方法)
- リベの定理の2つの証明法 (2): 円単数のオイラー系・コリヴァギン系を用いた手法について
- 最近の話題: リベの手法によるブルーマー–スターク予想の解決と,ヒルベルト第12問題への応用 (ダスグプタ–カクデの定理)
- レポート課題 [DAY5]
- 2023年8月24日 (木)
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- イデアル類群とゼータ関数の不思議な関係
- 解析的類数公式とその応用
- デデキントのゼータ関数の定義
- 解析的類数公式: デデキントゼータ関数の s=1 での留数に類数と単数規準が現れる
- 解析的類数公式の導出の概要: 特に新谷の錐分割の手法を用いたゼータ関数の扱いについて
- 相対類数公式とクンマーの判定法
- ディリクレ指標とディリクレの L 関数
- p 分体のデデキントのゼータ関数のディリクレ L 関数による分解
- 相対類数公式: p 分体の相対類数をディリクレ L 関数の特殊値 (一般化ベルヌーイ数) で表す
- クンマーの判定法: p が非正則素数であることと,p が B2, B2,..., Bp-3 のいずれかの分子を割り切ることが同値
- クンマーの判定法の精密化に向けて: エルブラン–リベの定理
- 指標分解の動機付け: イデアル類群も “指標毎に” 分解することで,一般化ベルヌーイ数と対応付ける
- 羃等元の定義と性質
- イデアル類群 (のシロー p 部分群) の指標分解と,エルブラン–リベの定理の主張
- レポート課題 [DAY4]
- 2023年8月23日 (火)
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- リーマンゼータ関数とその解析接続
- リーマンゼータ関数の定義とその性質
- バーゼル問題と冪乗数の逆数の和
- リーマンゼータ関数の (級数としての) 定義
- ゼータ関数の基本性質: 解析接続性,関数等式,オイラー積表示
- オイラー積表示と整数の素因数分解の一意性との関係
- 解析接続とは何か?
- 複素解析的関数の一致の定理
- 滑らかな実関数では「一致の定理」はまったく成り立たないこと
- 解析接続の概念
- メラン変換とリーマンゼータ関数の解析接続
- メラン変換の定義,指数関数のメラン変換としてのガンマ関数
- ガンマ関数の解析接続: ガンマ関数の等式を利用した解析接続
- (exp(t)-1)-1のメラン変換がガンマ関数とリーマンゼータ関数の積と一致すること
- ハンケル積分によるリーマンゼータ関数の解析接続
- 応用: リーマンゼータ関数の負の整数点での特殊値の計算
- レポート課題 [DAY3]
- 2023年8月22日 (火)
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- 関–ベルヌーイ数とその応用
- 羃和の公式と関–ベルヌーイ数
- 数羃和から漸化式を導く
- 関–ベルヌーイ数の漸化式による定義
- 関–ベルヌーイ数の指数型母関数
- 関–ベルヌーイ数のスターリング数表示
- 第2種スターリング数とその漸化式による特徴付け
- 第2種スターリング数の性質
- 関–ベルヌーイ数の第2種スターリング数による表示
- フォン=シュタウト,クラウゼンの定理とクンマーの合同式
- フォン=シュタウト,クラウゼンの定理の主張と例
- フォン=シュタウト,クラウゼンの定理の証明 — ベルヌーイ数のスターリング数表示を用いて
- クンマーの合同式とその数値計算例 (計算機による実演)
- クンマーの合同式の証明 — クンマーの原論文の手法に基づいて
- 参考資料2 (差和分の基本定理,バーゼル問題とリーマンのゼータ関数)
- レポート課題 [DAY2] (8/25 修正あり)
- 2023年8月21日 (月)
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- イデアルとイデアル類群
- ピタゴラス数
- ピタゴラス数の例とディオファントスの公式
- ディオファントスの公式の証明と素因数分解: 互いに素な整数の積が平方数ならば,どちらも平方数
- フェルマーの最終定理と “数の世界の拡張”
- フェルマーの最終定理について
- 円分整数を用いたアプローチ: ラメ,コーシーの論争について
- ラメ,コーシーのアイデアとその破綻: 拡張された数の世界では,“素因数分解の一意性” が成り立たない!!
- クンマーの “理想数” とデデキントのイデアル論
- クンマーの “理想数” と “理想素因子分解”
- “理想素因子分解” の一意性の例
- デデキントによるイデアルとしての解釈: 「数」から「数の集合」へ
- イデアルを巡る諸概念の定義,古典的な「数の理論」との用語の対応
- 代数的整数論 (“拡張された数の世界”) の基本定理
- 素イデアル分解の存在と一意性,およびその証明のポイント
- 分数イデアル群,イデアル類群の定義とイデアル類群の有限性
- 正則素数に対するフェルマーの最終定理 (クンマー)
- 正則素数と非正則素数
- 正則素数の場合の証明の概略: ケース1について
- 参考資料1 (フェルマーの最終定理とクンマーの “理想数”)
- レポート課題 [DAY1]
講義日程
8月 21日, 22日, 23日, 24日, 25日