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4年セミナー Seminar Ⅳ
津田塾大学数学科 4年 (木曜3, 4限)
担当: 原 隆
場所: 7号館7302教室
講義内容 (シラバスより):
代数的整数論 (特に2次体の整数論) にまつわる様々な話題を輪講形式で学習する。また、学生生活の総決算として、これまでに学習してきた知識をもとに卒業研究に取り組む。
取り上げるテーマは楕円曲線の整数論である。楕円曲線は、素朴には非特異な平面3次曲線に過ぎないが、その見かけによらず非常に奥深い性質を有し、現在でも様々な手法で盛んに研究されている対象である。特に顕著な性質として、楕円曲線の有理点の集合が群構造を持つことが挙げられるだろう。この一見して複雑な群構造が楕円曲線をより魅力的な存在にしていることに疑いの余地はなく、実生活に於いても楕円曲線暗号などの形で活用されている。一方で楕円曲線の有理点は、合同数問題やフェルマーの最終定理など、整数論の古典的問題から最先端の話題まで至る所に顔を覗かせ、最早現代整数論とは切っても切り離せない存在と化している。セミナーでは、最初に初等整数論や群論・環論・体論の基礎事項を復習し、代数曲線論について簡単に準備をした上で、楕円曲線の有理点の構造 (特に Mordell–Weil の定理) について学習する。既に述べたように、楕円曲線は様々な局面に現れる対象であり、色々な角度から研究されているので、最終的には各々の興味に基づいて楕円曲線に関連するテーマを設定した上で、卒業研究に取り組まれたい。
なお、セミナーではテキストの第1章, 第2章および第5章以降を輪読する予定である。
教科書: J.S. Chahal著,織田進訳 『数論入門講義 —数と楕円曲線』 共立出版
このページには主にセミナーの進捗状況を記録していきます (個人的な備忘録のようなものです)。
お知らせ / 更新履歴
- 6月26日 6/25のセミナーの内容を更新しました。
- 6月18日 6/18のセミナーの内容を更新しました。
- 6月12日 6/11のセミナーの内容を更新しました。
- 6月5日 6/4のセミナーの内容を更新しました。
- 5月29日 5/28のセミナーの内容を更新しました。
- 5月21日
5/21のセミナーの内容を更新しました。
- 5月18日
5/7, 5/14のセミナーの内容を更新しました。
- 4月27日
4/23のセミナーの内容を更新しました。
- 4月12日
「セミナーに参加するに当たって」「セミナーの発表ノート作りについて」「オンラインセミナーに向けて」を掲載しました。
セミナーの初回は 4月9日 (木) の予定です。
津田塾大学の授業開始日等延期方針に伴い、セミナーの初回は 4月23日 (木) となる予定です (新型コロナ流行の状況に応じてさらに変更となる可能性があります)。
進捗状況
事前に読んでおいてください
- 2020年6月25日 (木)
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- 5.6 双有理幾何
- 平面曲線のパラメータ付けとその例
- 双有理同値性の定義
- 例: 3次フェルマー曲線と楕円曲線の双有理変換
→ フェルマー曲線上の有理点の問題を、楕円曲線の有理点の問題に帰着
- 5.7 代数幾何からのいくつかの結果
- ベズーの定理: 複素射影平面上の m 次曲線と n 次曲線は、共通成分を持たないならば重複を込めて mn 個の交点を持つ
- ベズーの定理の応用1: 任意の5点を通る2次曲線の存在、任意の9点を通る3次曲線の存在
- ベズーの定理の応用2: 2つの3次曲線の8つの交点を通る3次曲線は、もう1つの交点も通る
(→ 楕円曲線の演算の結合法則の証明に用います)
- 2020年6月18日 (木)
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- 5.3 斉次多項式と射影空間
- 斉次多項式の定義と例
- 射影空間の定義、アフィン空間から射影空間への埋め込みの定義
- 射影空間概説: 特に射影直線と射影平面に焦点を当てて
- 5.4 平面代数曲線
- 平面代数曲線の定義、平面楕円曲線の既約性の定義
- 射影曲線の定義、平面代数曲線の射影モデルと斉次化
- 平面曲線の無限遠点
- 例題: 双曲線の斉次モデルと無限遠点
- 5.5 曲線の特異点
- 平面曲線の特異点、非特異点 (滑らかな点) の定義
- 特異点の例: 尖点 (カスプ, cusp) と結節点 (ノード, node)
- 課題 (6/24までに Google Classroom に提出)
- 2020年6月11日 (木)
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- 2.8 環
- 2.9 体
- 2.10 有限体
- 有限体の構成, 還元 (reduction) 写像について
- 2.11 環上の多項式環
- 環上の多項式環の扱い方
- 有限体の乗法群が巡回群であることの証明とその応用
- 5.1 はじめに
- 5.2 準備
- 課題 (6/17までに Google Classroom に提出)
- 2020年6月4日 (木)
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- 2.6 群の生成元
- 生成元の定義と有限生成性、巡回群の定義
- 例: 巡回群、巡回群でない有限生成群、有限生成でない群
- 2.7 群準同型
- 群準同型の定義と例、同型写像
- 有限生成アーベル群の構造定理 (主張だけ)
- 準同型定理とその応用
- 補足資料
- 2020年5月28日 (木)
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- 2.2 部分群 (続き)
- ラグランジュの定理とその証明
- 応用: 位数が素数の有限群は自明な部分群しか持たない
- 2.3 剰余群
- 剰余類の定義と性質
- アーベル群の部分群に関する剰余群
- 剰余群の例: 整数の合同類群、複素数平面の格子による商 (“楕円曲線”)
- 2.4 元の位数
- 2.5 群の直積
- 課題 (6/3までに Google Classroom に提出)
- 2020年5月21日 (木)
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- 2.1 群
- 群の定義と例
- 群の単位元と逆元が一意に定まること (→課題も参照)
- 群でない集合の例: (0でない整数全体, 乗法), (自然数, 加法) etc...
- 群の位数、無限群と有限群
- 有限群の例: 整数の剰余類群, 1の羃乗根のなす群 (複素数平面を用いて)
- 集合の写像の単射性、全射性、全単射性の定義 (復習)
- 「x倍写像」が集合の全単射となること
- 2.2 部分群
- 部分群の定義と意味
- 部分群の例 (特に特殊線形群について
- 課題 (5/27までに Google Classroom に提出)
- 2020年5月14日 (木)
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- 1.5 Diphantus 方程式 (続) — 原始ピタゴラス数のディオファンントスの公式
- 1.6 合同数
- 合同数問題と同値な言い換え
- 1が合同数でないことの証明
- 応用: n=4 でのフェルマーの最終定理
- 2020年5月7日 (木)
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- 1.3 素数 (続) — ベズーの補題とユークリッドの互除法
- 1.4 合同 — 合同式の基本性質
- 1.5 Diophantus 方程式 — 歴史等の概要
- 課題 (5/13までに Google Classroom に提出)
- 2020年4月23日 (木)
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- 1.1 整除 — 整除性の定義と基本性質
- 1.2 整除アルゴリズム — 割り算の定理とその証明
- 1.3 素数
- 素因数分解の存在とエラトステネスの篩法
- 素因数分解の一意性
- 素数の無限性
- 最大公約数・最小公倍数とその性質 (途中まで)
- 課題 (5/7までに Google Classroom に提出)
セミナー日程
第1ターム
4月 2日 (オリエンテーション期間), 9日, 16日, 23日, 30日
5月 7日, 14日, 21日, 28日
6月 11日 (第1ターム最終授業日), (4日, 5日) (補講日)
第3ターム
9月 10日, 17日, 24日
10月 1日, 8日, 15日, 22日 (津田塾祭準備 / 休講), 29日
11月 5日, 12日 (第3ターム最終授業日), (10月22日午前, 26日午後, 28日 補講日)
第4ターム
11月 19日, 26日
12月 3日, 10日, 17日, 24日, 31日 (冬期休暇)
1月 7日, 14日, 28日 (第4ターム最終授業日), (15日午前, 19日午前, 20日, 21日 補講日)