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代数学入門 Introduction to Algebra
工学部・未来科学部 1年生〜
全学科 (月曜5限)
担当: 原 隆
場所: 2号館2504教室
講義内容 (シラバスより):
整数 (0,±1,±2,...) は最も「素朴な」数の概念であり、あまりにも身近な数であるため、ともすれば実数などと比べて非常に単純な数の様にも考えられがちである。しかし、〈整数の世界〉が〈実数の世界〉とはまた違った意味で非常に奥深く魅力的な構造を持っていることは古来より知られており、現代に至るまで数多の数学者達を魅了し、研究へと駆り立ててきた。さらに近年では、暗号理論など我々の生活に密接に関わる分野にも整数の理論が応用されるようになってきている。
この講義では初等整数論の初歩について学習する。整数を割った「余り」の概念の復習から始め、「余りの数の世界」に於ける様々な法則の金字塔たるフェルマーの小定理、オイラーの定理を理解することを目指して講義を進める。時間が許せば応用的なトピックスについても扱う予定である。
教科書: 遠山啓著『数の不思議 — 初等整数論への招待』 (SBクリエイティブ)
このページには主に講義のメモ (個人的な備忘録に近いです) 及び配布物等を掲載してゆく予定です。
お知らせ / 更新履歴
- 2017年1月27日 学力考査の講評および授業アンケートへの自由回答欄へのコメントを公開しました (学力考査のところにおいてあります)。
- 2017年1月23日 学力考査の結果速報および1月23日の講義内容を公開しました。
今年度の講義はすべて終了しました。半年間お疲れ様でした。
- 2017年1月16日 明けましておめでとうございます。1月16日実施の学期末考査の問題および略解を公開しました。得点分布や採点講評は、順次アップロードする予定です。
- 初回講義は 9月12日 (月) です。また、9月19日 (月 / 敬老の日) は 休講 です。
講義内容
11月21日の講義で、小テスト1–7 の得点集計票を配布しました。必ず自分で確認して おかしな箇所があれば証拠書類とともに申し出て下さい。たとえ得点集計票の記載事項に誤りがあったとしても 本人からの訂正の申し出がない場合には、得点票の集計結果のまま最終成績に反映させます。
- 2016年1月23日 (月)
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- 学期末考査 答案返却および講評
- 学期末試験の答案返却は、1月23日(月) の補講以降 40903A室にて受け付けます。
- 答案返却は基本的に平日のみ 受け付けます。常に研究室にいるとは限りませんので、事前にメールなどでアポイントメントを取っていただいた方が確実です。
- 学期末試験の採点講評およびアンケートの自由回答欄へのコメントは、作成次第こちらにアップロード致します (気長に待って下さい)。
- 答案返却のためのメールでのアポイントメントには応じますが、メールによる成績照会 (単位が取れていたか) には一切応じません。
- フェルマーの最終定理から代数的整数論の世界へ
- フェルマーの最終定理
- n=3,4 のときの証明の方針 — ガウスの整数、アイゼンシュタインの整数で因数分解して「素因数分解の一意性」に帰着
- ラメ、コーシー等のアイデア: 1のn乗根を付け加えた整数での「素因数分解」を考える
- ラメ、コーシー等の議論の破綻: 素因数分解の一意性の崩壊
- クンマーの理想数のアイデアとイデアル — そして代数的整数論の世界へ
- 参考資料12 (フェルマーの最終定理と整数の拡張について)
※ 何箇所か加筆修正しております。
以上です。半年間お疲れ様でした!!
- 2017年1月16日 (月)
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- 2016年12月19日 (月)
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- 初等整数論の応用2: ガウスの整数
- ガウスの整数の定義: ガウス平面 (複素数平面) 上の格子点
- ガウスの整数の分類: 単数, ガウスの素数
— 通常の整数と非常に似た性質を持つ!
- ガウスの単数の決定 — ノルムを利用して
- フェルマーの2平方和定理とその意味: 4で割ると1余る奇素数はガウス整数としてさらに因数分解出来る!
- ガウスの素数とその分布 (ガウスの絨毯)
- 素因数分解の一意性とピタゴラス数の求め方への応用
- 参考資料11 (ガウスの整数について) 演習問題の解答等もついています
- 小テスト12 問題 解答
33名受験 平均点: 1.97点/7点 最高点: 7点 (1名)
- 2016年12月12日 (月)
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- 初等整数論の応用1: RSA公開鍵暗号
- 公開鍵暗号とは
- 暗号を用いたメッセージ伝達の仕組み
- 共通鍵暗号 (古典的暗号) とその問題点 — 特に鍵の共有問題 (リスク) について
- 公開鍵暗号 — 鍵の共有問題に対するディフィー、ヘルマン等の「解答」
ディフィー・ヘルマンの鍵共有問題の「実装化」としての RSA 公開鍵暗号
- RSA公開鍵暗号
- 鍵生成プロトコルとメッセージ伝達方法について
- 計算演習: RSA公開鍵暗号の鍵生成プロトコルと暗号化、複合化プロセス
- 暗号化、複合化の原理: オイラーの定理の応用
- RSA公開鍵暗号の安全性 — (大きい数の) 素因数分解の困難性
- 参考資料: 楫元著『工科系のための初等整数論入門 --- 公開鍵暗号をめざして』(培風館) 第6章
たった15ページ (!) で RSA 公開鍵暗号のエッセンスを見事に纏めてあります。講義ではやはり駆け足の説明になってしまいましたので、RSA公開鍵暗号の詳細に興味がある方は是非ご一読を。
- 参考資料10 (RSA 公開鍵暗号) 定理の証明、演習問題の解答付き
- 小テスト11 問題 解答
33名受験 平均点: 5.52点/7点 最高点: 8点 (4名)
※ 問題11-2. (3) は出題ミスでした (詳細はリンク先ファイルを参照)。混乱させてしまい申し訳ございません m(_ _)m
- 2016年12月5日 (月)
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- フェルマーの小定理とオイラーの定理 (続)
- オイラーのトーシェント関数の性質
- 素数でのトーシェント関数の値 (復習)
- 素数の羃乗に対するトーシェント関数の値
- 一般の自然数に対するトーシェント関数の値の計算法 — トーシェント関数の乗法性を用いて
- トーシェント関数の乗法性の証明の概略 (詳細は参考資料9の加筆部分を参照)
- 本講義の成績評価について (学期末試験のアナウンス)
- 参考資料9 演習問題の解答は12月6日 公開済
- 小テスト10 問題 解答
42名受験 平均点: 5.05点/8点 最高点: 8点 (2名)
- 2016年11月28日 (月)
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- フェルマーの小定理とオイラーの定理 (続)
- オイラーのトーシェント関数とオイラーの定理
- オイラーのトーシェント関数の定義と計算例
- オイラーの定理
- フェルマーの小定理とオイラーの定理の証明の概略
- 参考資料8 解答は公開済
- 小テスト9 問題 解答
40名受験 平均点:4.88点/8点 最高点: 8点 (5名)
- 2016年11月21日 (月)
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- 合同式 (続)
- 連立1次合同方程式 — 中国式剰余定理 (続)
- 一般の連立1次合同方程式の解法
- 問題演習: 連立1次合同方程式
- フェルマーの小定理とオイラーの定理
- フェルマーの小定理
- 定理の主張
- フェルマーの小定理の例: 成り立つ場合と成り立たない場合
- 応用: 「大きい羃乗」を素数 p で割ったときの余りの計算、法 p での逆元の求め方
- 法が合成数の場合はどうするか? →オイラーの定理へ
- 参考資料7 (フェルマーの小定理について) 問題の解答も付けています
- 小テスト8 問題 解答
41名受験 平均点: 3.27点/8点 最高点: 8点 (1名)
- 2016年11月14日 (月)
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- 合同式 (続)
- 1次合同方程式の不定方程式への応用
- 1次不定方程式への応用 — 適当に modulo して x か y の1次合同方程式に帰着する
- 問題演習: 1次不定方程式への応用
- 連立1次合同方程式 — 中国式剰余定理
- 『孫子算経の数当て問題』 — 「余りの情報からもとの数を求める」
- 簡単な場合の連立合同方程式の解法
- 参考資料6 (連立合同方程式と中国式剰余定理) 演習問題解答 (+講義の補足) 11月21日 公開
- 小テスト7 問題 解答
※ 問題7-2. の問題文に誤植がありましたので訂正しておきました。すみません (問題を解く上では支障はないはず)。
44名受験 平均点: 6.32点/7+2点 最高点: 9点 (11名)
- 2016年11月7日 (月)
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- 合同式 (続)
- 1次合同方程式とその応用
- 1次合同方程式とは? — (実数の世界での) 1次方程式と比較して
- 1次合同方程式の解法Ⅰ: x の係数と法 n が互いに素なとき
— x の係数の逆元を両辺に掛ける
- 問題演習: 1次合同方程式の解法Ⅰ
- 1次合同方程式の解法Ⅱ: x の係数と法 n が互いに素でないとき
— x の係数と法 n の最大公約数で合同式を 法 n も含めて約分する
- 参考資料5 (1次合同方程式とその応用) 11月14日 問題5-2. の解答公開
※ 問題5-1. (1), (2), (3), (7) は x の係数と法 n が互いに素なケースなので、先ずはこれらを確実に解けるようにしておこう。
また、テキスト『数の不思議』の問題31も解ける筈なので、是非チャレンジを!!!
- 小テスト6 問題 解答
43名受験 平均点: 2.53点/7+2点 最高点: 7点 (3名)
- 2016年10月31日 (月)
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旭祭による 休校日
- 2016年10月31日 (月)
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- 合同式 (続)
- 合同式の応用
- 応用Ⅰ: 暦の計算 (続) — 特に曜日と日干支の計算演習
- 応用Ⅱ: 大きな数を割った余り
— “1と合同になるような羃乗”を虱潰しに探し出す
- 今回は 参考資料は配布していません。次回の小テストの出題範囲は参考資料4の後半 (大きな数を割った余り) です。
- 小テスト5 問題 解答
43名受験 平均点: 6.26点/7+2点 最高点: 9点 (8名)
- 2016年10月17日 (月)
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- 合同式
- 合同式
- 定義とその意味 — 「整数を余りで分類する」
- 合同式の基本性質: 合同式の加減乗について
※ 合同式同士の 割り算は一般には出来ない ことに注意!!
- 合同式の応用例1: 暦の計算
- 曜日の計算への合同式の応用
※ 日干支については、時間の関係上説明出来ませんでしたので次回の冒頭で少し補足します。
- 参考資料4 (10/24 演習問題4-3. の解答追加)
- 小テスト4 問題 解答
44名受験 平均点: 6.05点/7+2点 最高点: 9点 (6名)
※ 次回の小テストは「暦の計算」までの内容 (参考資料4 演習問題4-2. まで) から出題します。
- 2016年10月10日 (月)体育の日
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- 一次不定方程式 Ⅰ (続)
- ベズーの補題 — ユークリッドの互除法を用いた一次不定方程式の特殊解の構成
- 演習問題: ユークリッドの互除法を用いた一次不定方程式の特殊解の構成
- 整数の素因数分解とその一意性
- 素数の定義
- 素因数分解の存在と一意性定理
- ユークリッドの補題 — ベズーの補題の応用として
- 素因数分解の一意性の証明方針
- 参考資料3 (ベズーの補題および素因数分解の存在と一意性定理の証明、演習問題の解答を加筆)
- 小テスト3 問題 解答
45名受験 平均点: 6.09点/7+2点 最高点: 9点 (4名)
- 2016年10月3日 (月)
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- 約数と倍数 (続)
- ユークリッドの互除法 (続)
- 宿題 (ユークリッドの互除法を用いた最大公約数の計算) の解説
- 互除法の原理の証明
- 一次不定方程式 Ⅰ
- 不定方程式 (ディオファントス方程式) の定義と例
- 一次不定方程式の整数解が存在する必要条件
- 一次不定方程式の解の構造 — ひとつ整数解が存在すれば、無限個の整数解が存在する
- 例題: 特殊解が与えられたときの、全ての整数解の求め方
- 参考資料2 (演習問題の解答付)
- 小テスト2 問題 解答
43名提出 平均点: 7.58点/8点 最高点: 8点 (31名)
※ 今週はタイムスケジュールを見誤り、小テストを実施する時間が取れませんでしたので、特例として 次回の講義時に解答したものを提出して下さい。回収したものを採点して、通常の小テストと同様に成績に反映させます。
なお、次回以降は通常通り小テストを実施します。次回の小テスト3は、参考資料2 の演習問題2-1. (講義で扱った例題と同様の問題) の類題を出題します。
- 2016年9月26日 (月)
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- 約数と倍数
- 割り算定理
- 割り算定理の主張と例 (特に負の数が絡む場合)
- 割り算定理の証明: 商と余りの存在と一意性
- 約数と倍数
- 約数、倍数の定義
- 公約数、最大公約数、公倍数、最小公倍数の定義
- ユークリッドの互除法
- 互除法の原理の紹介 (証明は次週)
- 互除法を用いた最大公約数の求め方
- 参考資料1 (演習問題の解説付)
- 小テスト1 問題 解答
47名受験 平均点: 6.15点/7+2点 最高点: 9点 (4名)
- 2016年9月19日 (月 / 敬老の日)
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休講
- 2016年9月12日 (月)
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- ピタゴラス数について
- ピタゴラス数の定義、例、ピタゴラス教団についてのお話
- ピタゴラス数の公式 (証明は後半で扱うかも?)
- ピタゴラス数の性質: x2+y2=z2 のとき、x, y の少なくとも一方は偶数
- 証明の概略: 「余りで分類する」
- 履修についてのガイダンス ガイダンス資料 (足りなくてすみません)
- 参考資料0 (ピタゴラス数について)
※ 次週 (9/19) は 休講です!! 履修予定の方は、次週中に確実に履修登録を済ませていただくようお願いします。
講義日程
9月 12日, 19日 (敬老の日 / 休講), 26日
10月 3日, 10日 (体育の日 / 授業実施日), 17日, 24日, 31日 (旭祭による休校日)
11月 7日, 14日, 21日, 28日
12月 5日, 12日, 19日, 26日 (冬季休校)
1月 2日 (冬季休校), 9日 (成人の日 / 休校日), 16日, (23日)