情報処理Ia 第3回

はじめに

今日の内容は、文字の符号化と電子メールの仕組みについてです。LINEやSlackなどのアプリを使うほど親しくない相手との連絡手段に電子メールを使うことはよくあります。電子メールを円滑にやりとりできるようになりましょう。

文字コード

文字コードとは何か

コンピュータで扱うデータはすべて0と1の2進数で表現されるので、 コンピュータで文字を扱うには、文字をコンピュータ上の表現である数値に対応付ける必要があります。文字を数値に対応させる規則を文字コードと呼びます。文字に対応させた数値そのものを文字コードと呼ぶこともありますが、一般にそれでは不十分で、どの文字にどうやって数値を対応させるかという、規則、ルール、体系といったものが文字コードです。
ある情報を他の記号集合で表すことを「符号化」(encode、エンコード)と呼びます。「文字の集合」を「数値の集合」で表すことを考える(文字を数値に変換すると言い換えてもよい)ので「符号化」という言葉を使って、数値化の対象にする文字の集合を「符号化文字集合」、文字にどうやって数値を対応させるかを決めたものを「文字符号化方式」と呼びます。「文字コード」とは「符号化文字集合」と「文字符号化方式」の組み合わせです。

符号化文字集合

文字コードを定めるためには、対象とする文字の範囲(種類)を決めないといけません。日本語であれば「ひらがな」「かたかな」「漢字」などが対象ですが、その漢字にしても、現存するすべての漢字というわけにはいかなくて、とにかく文字集合としてこれだけの漢字を扱いましょうと具体的な種類を人が決める必要があります。

この「扱う文字の集合」が「符号化文字集合」です。符号化文字集合(文字セット、あるいは単に文字集合)として日本でよく使われている4つを以下に挙げます。この中でASCIIとUnicodeの2つの名称は覚えて下さい。それ以外は、どんなものかなんとなく把握する程度で大丈夫です。
文字集合説明
ASCIIコード アメリカ規格協会が決めた通信用の文字集合で、英字、数字、アルファベット、制御文字(改行など)からなります。7ビットで表現されます。
JIS X 0201 JISとつくのでわかるように、日本工業規格で定められた規格です。ASCIIコードの文字にカタカナなどを加えた文字集合で、1バイトで表すことができます。ここに属する文字は、後述する2バイト文字に比べて幅が狭い字体で表示されることから半角文字と呼ばれます。
JIS X 0208 日本工業規格で定められた規格です。ひらがな、漢字等日本語の文字集合です。ここに集められたひらがなや漢字は2バイトで表し、半角文字に比べ幅が広い字体で表示されることから全角文字と呼ばれます。
Unicode Unicode(ユニコード)には、世界中の文字が含まれています。整理のため文字ごとに番号がついています。ただこの番号がそのままコンピュータ内部で使用されるわけではありません。

文字符号化方式

文字集合が決まったら、それにに含まれる個々の文字にどうやって数値を割り当てるか決めます。要するに各文字をビット列に数値変換するわけですが、どうやって変換(符号化)するかという規則を「文字符号化方式」と呼びます。

さきほど述べたように、狭義には、この符号化方式こそが文字コードですが、広義では、どのような符号化文字集合をどの文字符号化方式でencode(エンコード、符号化)するのか、という組み合わせまでを含めて文字コードと呼びます

一つの符号化文字集合に対して、複数の文字符号化方式が存在します。

文字コードの例

代表的な文字コードをいくつか挙げます。この中で名称として覚えるべきはUTF-8です。

ASCII(アスキー)コード

アメリカで決められた通信用の文字コード規格です。 ASCIIの場合は、数字、アルファベット、記号などの文字集合の番号をそのまま0〜127の7ビットで表すので、符号化形式であると同時に符号化集合でもあります。 ASCIIコードに含まれる128文字には、「改行」「タブ」などの制御文字も含まれます。制御文字は、画面や印刷時には目に見えません。
コード表はこちら(外部ページ)です。

UTF-8

ASCIIコードの文字に、Unicodeの文字集合を加えています。ASCIIコード以外の文字は、2〜6バイトで表現されます。日本語の文字は基本的に3バイトで表現されます。 世界中の多くのソフトがUTF-8に対応していますので、ウェブページなどもUTF-8で書かれることが多いです。また、日本語文字と他言語の例えばハングル文字が入り混じっている場合でもUTF-8の文字コードを利用すれば正しく表示させることができます。このために現在UTF-8という文字コードがメールやウェブページで利用する最も一般的な文字コードになってきています。

ISO-2022-JP

JIS X 0208の日本語文字を7ビットで表現する符号化方式です。通称JISコードとも呼ばれます。 通信用の文字コード規格で、電子メールの本文には、この文字コードが主流だった時代がありますが、今はUTF-8が主流になってほとんど見なくなっています。この文字コードは、半角のASCIIコードの文字も含みますが、半角カタカナを含まず、またハングルなどの他言語の文字にも対応していません。

Shift-JIS

ASCIIコードの文字に、半角カナを含むJIS X 0201の文字、全角文字のJIS X 0208の文字とを加えています。Shift-JISは半角カタカナを含むJIS X 0201の文字を1バイトで表現し、それ以外の全角文字は2バイトで表現します。8ビットで表現していますが、7ビットで表現するISO-2022-JPに簡単に変換できる文字コードとして位置づけられています。もともとコンピュータ内部はこの文字コードが使用されていて、とくにWindowsがその代表でした。しかし今は、UTF-16かUTF-8を内部コードとして使用する方向に変わってきています。

文字化け

Excelなどで外部データを取り込むときなどに、文字コードを正しく指定しないと文字化けになります。
文字コードの対応がうまくいかない状態を考えてみましょう。2進数だとなじみが薄いので、便宜上10進数で考えると、例えば、431215006218という数字の列をみたときに、431、215、006、218と3桁で区切って対応表をみたら4文字に変換されますが、43、12、15、00、62、18と2桁で区切って対応表を見たら、6文字に変換されます。つまり何桁で区切るという情報がまちがっていれば数字列は全く違う文字に変換されてしまいます。また、3桁で区切るのが合っていても、参照すべき対応表が違っていたら別の文字に置き換わってしまいます。他にも、対応表に該当する文字が載っていなかったら、つまり文字コードの対象となる文字集合に含まれない文字があったら、どの文字も表示できません。このような理由で正しい文字が表示されない現象を文字化けと呼びます。したがって正しい文字コードを指定して数字列を文字に変換できれば文字化けは解消します。

フォント

文字コードによって決定される文字をどんな書体でディスプレイに表示するかを指定するのが「フォント(font)」です。
フォントの例
游ゴシック体游明朝体

テキストデータ

フォントなどの情報を含まない、文字コードだけの情報(データ)をテキストデータ(文字データ)といいます。テキストデータをどのような書体で表示するかは、そのテキストデータを表示するアプリが決めます。テキストデータのみを含むファイルがあったとき、それを表示するアプリによって見た目が変わる、ということです。テキストデータとフォントの情報を一緒に保存しておきたいときには、Wordなどのアプリを利用します。

URLエンコードについて:URL中の全角文字

URLに日本語などの全角文字が含まれているように見える場合がありますが、サーバとクライアントとの実際のやりとりでは半角英数字や記号に変換して処理します。 URLを半角英数字・記号に変換することを「URLエンコード」といいます。逆に全角文字に戻すのは「URLデコード」といいます。エンコードやデコードを行うのはクライアントであるブラウザです。 例えば、「天」という文字は、「%E5%A4%A9%0D%0A」に変換され(エンコードされ)ます。このため、一般に全角文字が含まれたURLをコピペすると、エンコードされた文字列がペーストされますが、そちらが本来のURLです。

電子メールの基礎知識

ヘッダーと本文

1通の電子メールは、ヘッダーと本文から構成されています。 ヘッダーは、メールの送付やその他の制御のために必要な情報が記述されています。 具体的には、送信者のメールアドレス、送信日時、宛先のメールアドレス、メールの件名(Subject)、などで構成されています。 本文は、その名前の通り、送信者が記述したメールの中身のことです。 文字列から構成されますが、画像などのデータを添付することが可能です。本文はボディという言い方もします。

メーラー

電子メールを送受信したり読み書きしたりするためのアプリをメーラーと言います。その他、メールソフトとか、メールクライアントという言い方もします。Gmail、Microsoft Outlook、Mac Mail、Thunderbirdなど数多くのメーラーが存在していて、有料のものと無料のものがあります。

webメール(ウェブメール)

SafariやMicrosoft EdgeやGoogle Chromeなどのブラウザを使用して、メールを閲覧したり送信したりする仕組み(サービス)のことをwebメールといいます

webメールの場合は、ブラウザがあればよいので、手元の端末にメールソフトがインストールされている必要はありません。また、メールソフトの使用開始時には、メールを送受信するための初期設定が必要になりますが、webメールでは、その初期設定が不要です。

皆さんが利用する津田塾大学Gmailは、webメールとして機能するので、ブラウザがあればメールソフトがインストールされていなくても使えます。また、スマホなどで利用する場合には、ブラウザを起動しなくてもよいように、Gmailアプリが配布されていて、それをインストールして使うこともできるようになっています。

メールアドレス

一般に、メールアドレスとは、
送信先の相手を特定するための情報です。
「ユーザ名@ドメイン名 」の形をしています。
アドレス中に空白を含めてはいけません。
(普通は)半角文字で大文字小文字は区別されます。
使用できる文字種はアルファベット、数字、-(マイナス、ハイフン)や_(アンダースコア、アンダーバー)で、それ以外は、使えない場合があるので注意が必要です。
本学では
学生一人一人にtsuda.ac.jpドメインのメールアドレスが割り当てられています。GoogleClassroomやGoogleDriveなどのGoogleのサービスを利用するときに使うGoogleアカウントと同じです。

メールの配送先:To,Cc,Bcc

ヘッダー内のTo:フィールド、Cc:フィールド、Bcc:フィールドに記述されたメールアドレスにメールが送信されます。

To:フィールドは必須ですが、Cc:フィールドとBcc:フィールドは不要の場合もあるので、必ずあるとは限りません。

これらのフィールドに指定する宛先として、複数の宛先を指定することができます。
複数のメールアドレスを指定したいときには、「,」(半角のカンマ)で区切ってメールアドレスを列挙します。カンマと次のアドレスの間に半角スペースも入力できます。もっとも、Gmailもそうですが最近のメーラーは、メール作成時にメールアドレスを複数入力していくだけで自動的に区切り記号を補完してくれるのが一般的です。その場合、半角カンマ記号を自分で入力する必要はありません。

To:フィールドに、宛先となるメールアドレスを記述します。
Cc:フィールドは、メールの相手以外の第3者、メールのコピーを送る相手のメールアドレスを記述します。「こんなメールを送った」という参考程度にメールのコピーを誰かに送信したい場合に使用します。Ccは、Carbon Copyの略です。
Bcc:フィールドは、Cc:フィールドと意味合いは同じですが、Cc:フィールドと違い、メールの受信時のヘッダーからは消えます。つまり、送信時にこのフィールドがあったのか、なかったのか、あったとしても、どんなメールアドレスが記述されていたのかは受信した時点で見えなくなります。Bccは、Blind Carbon Copyの略です。
To:やCc:に指定したアドレスは受信者全員に表示されるため、受信者が知り合いでもない場合にも、互いのメールアドレスを知らせることにつながります。そこで、受取人全員のメールアドレスをBcc:に列挙して隠すことがよくあります。また、To:フィールドに指定した受取人に知らせずメールのコピーを誰かに送りたい場合にも利用できます。

メールサーバ

eメールをやりとりする仕組みもクライアントサーバシステムです。 クライアントは、メールクライアントあるいはメーラーとかメールソフトとか呼ばれていて、 すでに述べたように、メールを読み書きする役割を果たしていました。 サーバの方は、メールサーバと呼ばれていて、メールを相手のところへ配送する役割を担っています。 また、メールサーバには役割に応じて送信サーバと受信サーバの2種類があります。
つまり、eメールは、自分が発信した端末から直接相手の端末(PCやスマホ)に届くわけではないということです。

AさんからBさんへメールを送信すると、Aさんが手元の端末のメーラーを利用してメールを送信→Aさんが使用しているメールサーバ→インターネット網→Bさんのメールサーバ→Bさんが手元の端末のメーラーでメールを読むという感じの流れになります(上図参照)。
新着メールがサーバに届いたとき、サーバからプッシュ通知が来てわかる場合もありますが、プッシュ通知機能がないサーバでメーラーが定期的に新着メールの有無を問い合わせに行かないとわからない場合もあります。

また、メーラーが直接やり取りする受信サーバと送信サーバは2台のサーバがそれぞれの役割を担う場合もありますし、1台のサーバで両方の役割を担う場合もあります。一般にサーバは、インターネット上でグローバルIPを割り当てられ、多くのクライアントからの要求を処理するコンピュータなので、図にあるような箱状の形態をしていて、一般に外部から遠隔操作で管理されるためディスプレイやキーボードは直接には必要としません。

さて、メールを送信すると、インターネットを利用して、世界中のどこにでも、ほぼ瞬時に届けることができます。もっとも、大抵の場合「ほぼ瞬時に届」きますが、まれに、遅配(数日、数か月のことも)や紛失(完全にどこかに消えてしまって相手に届かない)もあり得ます。

メールのプロトコル

インストールされているメーラーを初めて使用する際、最近は、GmailなのかiCloudメールなのかといったメールサービスを選んでメールアカウントの情報を入力するれば、メールサーバやポート番号、プロトコルなどの指定は自動で設定してくれるメーラーが増えました。しかし、自動設定ができない場合には、メールサーバのサーバ名、ポート番号、使用するプロトコルの種類などを自分で設定する必要があります。これらは仕様するメールサービスの設定情報を見ればわかります。プロトコルは複数あるものから選ぶ場合もあるので、どういうものか簡単に説明しておきます。

先ほどの図で、送信や受信の横にSMTPとかIMAPとかPOPとかいう文字がありました。これは、メールクライアントとサーバの間で通信するためのプロトコル名です。

送信時のプロトコル

メーラーから送信サーバへメールを渡すときのプロトコルは、SMTP(エスエムティーピー、Simple Mail Transfer Protocal)と呼ばれます。送信サーバは、プロトコル名を使ってSMTPサーバと呼ばれることもあります。
メールを受信する際に本人確認である「認証」手続きが必要なのは昔からですが、SMTPでメールを送信する際、本人確認である「認証」手続きが不要だった時代があります。しかしこれだとなりすましが簡単で、これを防ぐために、今は「SMTP-AUTH(エスエムティーピー オウス、smtp authentication)」という方式を用いるようになっていて、本人確認をしないSMTPは禁止するようになっています。SMTP-AUTHでの認証手続きはメールアカウントとパスワードの組で行います。

受信時のプロトコル

受信サーバとメーラーとの通信で使用されるプロトコルはPOPとIMAPの2種類あります。 メールサービスによってPOPとIMAPのどちらでも好きな方を利用できる場合もあれば、どちらか一方しか利用できない場合もあります。
  1. POP(ポップ、Post Office Protocl)
    メールサーバ(受信サーバ)にある個人の私書箱のような領域からメールを取ってくる(ダウンロードする)ためのプロトコルです。受信サーバはPOPサーバと呼ばれることもあります。メーラーがメールをダウンロードするとサーバ内からそのメールは消えます。メーラーは、(メーラーが起動している端末内の)郵便受けの役割を割り当てられた記憶領域に、取ってきたメールを保存します。したがって、例えばスマホでのメーラーでメールを読んだ後にパソコンのメーラーでそのメールを読もうとしても、サーバにはそのメールはありません。これでは不便だという場合は、メーラーの設定で、サーバにメールのコピーを残すことも可能です。このときには、スマホで読んだ場合はサーバにメールを残すけれど、パソコンで読んだらメールを残さないとか、パソコンで読んでから30日後にサーバからメールを消すとか、とにかくサーバからメールを削除するタイミングも設定します。POPは改良を重ねていて、現在のPOPはPOP3と呼ばれています。
  2. IMAP(アイマップ、Internet Message Access Protocol)
    メールサーバ(受信サーバ)にある個人の私書箱のような領域に届いたメールを見るためのプロトコルです。受信サーバはIMAPサーバと呼ばれることもあります。IMAPは、サーバ側でメールを管理します。メーラーがアクセスしてきたときサーバ内に保存されているメールを見せるだけで、POPのように削除しません。ます。このため、パソコンで見たメールを、スマホでまた見るというように、複数の端末で同じメールを閲覧し同期することができます。サーバからメールが削除されるタイミングは、メーラーでそのメールを削除したときです。

通信路の暗号化

暗号化方式の一つにTLSがあります。TLSは、SSLを改良したものなので、SSL/TLSと呼ぶこともあります。HTTPSというのは、HTTPプロトコルでの通信をTLSで暗号化することを意味していました。 また、TLSでは、通信路を暗号化するだけでなく、通信するサーバがサーバ証明書を持っているかを確認します。サーバ証明書を発行してくれる機関を認証局と呼びます。サーバ証明書はそのサーバのドメイン名が偽装されていないことを保証してくれます。ただしサーバ証明書は自分で作成することもできるので、そのようなサーバと通信するときにはTLSは警告を発します。ちなみに、きちんとしたサーバ証明書を取得している詐欺サイトもあります。中身が詐欺かどうかはまた別、ということです。

今回のメールサーバとメーラーの通信も、今はTLSで暗号化しているのが一般的です。

本文の形式

電子メールの本文には、大きく分けると3つの記述形式があります。
  1. テキスト形式
    文字データのみ、つまり文章のみで構成される形式で、どんなメーラーでも読むことができる。 文字の色、サイズ、フォント等を送信側で指定することはできない。 また画像を本文中に組み込んで表示することもできない。画像などの文字以外のデータ送りたい場合には、添付ファイルとしてなら送信できる。
  2. HTML形式
    HTMLメールのHTMLとは、ウェブページに代表されるようなハイパーテキストを記述する言語、Hyper Text Markup Language(ハイパーテキストマークアップランゲージ)のことで、HTMLで記述されたメールがHTMLメールです。これはウェブページを記述する形式と同じなので、HTML形式であれば、ウェブページのようにメール内の文字に装飾を施したり、色をつけたり、画像を組み込んだりしたメールになります。また本文中に、ウェブページへのリンク等を組み込むことができます。
  3. リッチテキスト形式
    メールを作成する際、OutlookやGmailなど限られたメーラーでのみ選択できる形式で、文字に関する装飾(大きさ、色、フォント、下線など)をつけることができる。送信するときにHTML形式に変換されるので、HTML形式の一種とも言えます。

HTML形式(リッチテキスト形式も含む)のメールは、メールを受け取った側のメーラー(の種類や設定)によって、送信者が意図したように表示されなかったり、最悪うまく読めないメールになったりします。このため送信相手を選ばないといけません。一般的なメールをやりとりするときには、テキスト形式でやりとりするのが望ましいです。

使用されているメールの形式は、ヘッダーのContent-Type:フィールドに記述されています。このフィールドはメーラーが自動で記述してくれます。「text/plain」であればテキスト形式、「text/html」であればHTML形式です。初期設定でHTML形式で送るようになっているメーラーがいくつかあるので意識的に設定を確認、変更するよう心掛けてください。

電子メールの文字コード

電子メールで使用する文字コードについて、以下のことを覚えて下さい。
使用されているメールの文字コードは、ヘッダーのContent-Type:フィールドにcharset=という形で記述されています。このフィールドはメーラーが自動で記述してくれます。ISO-2022-JPならcharset=iso-2022-jpとかUTF-8ならcharset=utf-8のように大文字小文字の区別を気にせず記述されます。自分がどの文字コードでメールを出しているかを意識できるようになってください。

環境依存文字(機種依存文字)

文字コードの使っていない空き領域に割り当てられた文字で、パソコンやスマホの機種(より正確にはOS)によって見え方が変わる文字のことです。①などの文字がこれに該当していて、環境によって正しく表示されない場合があります。このため環境依存文字をメールで使用しないように注意する必要がありました。しかし現在は、UTF-8の普及によって、どの環境でも文字コードをUTF-8に設定することで、環境依存文字による文字化けが避けられるようになってきました。ただ、顔の絵文字のような絵文字はテキスト形式のメールでは正しく表示されないので、(^^)のようなASCII文字の顔文字を使います。

添付ファイル

電子メールは、テキストデータ(文字データ、文字)しか送信できません。テキスト以外のデータをバイナリデータと呼んで区別します。例えば、画像データや音声データ、Wordで作成した文書などは、バイナリデータです。

HTMLメールも文字データのみで、画像などは別途メーラーが本文で指定されたURLを使って表示するので、メールを読んだときに画像が含まれていても、メール本文に画像データが含まれていたわけではありません。

画像などのバイナリデータをメールで送信したい場合、データを保存したファイル(バイナリファイルと呼びます)を、メールの添付ファイルとして送信します。 具体的には、添付ファイルを、BASE64(ベースろくじゅうよん)という変換形式でASCII文字に変換、つまりバイナリデータをテキストデータに変換してから送信することになります。

添付ファイルを含むメールの送受信についての説明や実際の送受信については次回やります。

メールのマナー

これがいまの普通かな、と思うことを列挙しますが、時代の変化が激しいので状況によって変わります。そのときそのとき自分で判断してください。

件名は内容を反映したものに

件名(Subject)を見たら、メール本文の用件がだいたいわかるようになっているとよいです。 「こんにちは」などの挨拶や、「梅子です」のような件名は避けるべきです。人によっては日に何百通のメールを受け取る人もいます。またあとからメールを探すときにも、件名が内容を表すようなものだと検索しやすいです。

名乗りましょう

大学から割り当てられているメールアドレスは学籍番号を利用しているので、そのアドレスから先生にメールを出すときなどは、とくに名乗らなくてもだれからのメールかわかります。しかし、一般的にはメールアドレスしかないと誰だかわからないときもあります。本文で名乗るようにしましょう。名前だけでわかりにくい場合は所属なども記すのが一般的です。 また、メールを受け取った人が、そのメールが自分宛てなのかCcで届いただけなのかすぐわかるように、メールの冒頭に誰に宛てたメールか明記するのもよいでしょう。例えば以下のような感じです。
〇〇先生、
学籍番号 a11111 の津田梅子です。

署名があるといいかも

本文の最後に、署名を入れるのもおススメです。 以下は署名の例です。
------
津田梅子 <umeko@tsuda.ac.jp>
津田塾大学英文科1年
署名は名前とメールアドレスだけでもよいですし、上のように所属を記してもよいでしょう。署名があると、書いている途中で送信したのではなく、そこで本文が終了しているとはっきりわかります。あらかじめ署名を作成しておいて送信時に自動的に署名をつけてくれる設定にできるメーラーも多いです。

段落と段落の間は1行空ける流儀があります

パソコンでメールを読むことが多かった時代は、1行を全角35文字(半角70文字)にしましょうと教えていた時代もありました。スマホで読むことが多くなった今は、改行があるとかえってよみにくいこともあります。ただ、段落を変えたいときは、行頭を字下げするのではなく、1行空けた方が読みやすいのは変わっていない気がします。

おすすめの本文構成

本文は、一般的には以下のような構成にします。
  1. 誰に宛てたメールかわかるように最初に、「××様、」のように相手の名前を入力します。
  2. 「こんにちは」「お疲れ様です」のような短い挨拶を入力します(なくても大丈夫)。
  3. 「○○です。」のように自分の名前を名乗ります。
  4. 用件を入力します。環境依存文字(顔文字など)は含めないようにします。また、添付ファイル(次回やります)を付ける場合には、本文でどういうファイルかを説明して下さい。説明がないと警戒されて添付ファイルを開いてもらえない場合があります。
  5. 最後に署名をつけます。Gmailの設定で所属などを含めた長いものを事前に登録しておくこともできますが、簡単に名前だけの短いものをその都度入力しても問題ありません。本文がそこで終わっていることがわかるようにすることが大事です。

相手にメールが届かない可能性も考慮にいれる

メールは送信先のサーバに一瞬で届くものです。しかし、確実に送信先に届くとは限りません。永遠に届かないこともありえますが、メールサーバや回線のトラブルで何時間も(へたをすると何日も)遅れて届くこともあります。また相手のところに届いても、相手が見落としたり迷惑フォルダに自動で振り分けられたりして読んでもらえないこともあります。したがって返事がこない場合には、再度メールを送信したり別の連絡手段を探してみましょう。

返事はとりあえずでもいいので早く

返事が必要なメールを受け取ったら、とりあえずでもいいので返信するようにしましょう。とりあえず無事にメールが届いて中身を把握してくれたということがわかれば送信者は安心するでしょう。

休日、夜中や早朝のメール

仕事のメールは、仕事時間にしかチェックしない(休日などはチェックしない)人も多いので、仕事メールを出す時間帯を気にしない場合もあります。一方で、職場から休日と平日夜10時から朝7時まではメールを出さないようにという指示がくることもあります。はっきりとした目安はありません。 スマホの場合は睡眠モードに設定することで指定時間帯の通知を切ることもできます。 休日、夜中や早朝のメールに返信がなくても気にしないようにしましょう。またその時間帯にメールを出したいときには、すぐに送信せずに送信設定をしておくこともできます。 状況に応じて、柔軟に判断してください。

メールの中身は他人に見られても大丈夫な内容を

メールは手紙でなくハガキです、と比喩されます。メールサーバからメールサーバまでの経路が暗号化されていなかった時代には、通信経路で情報漏洩する可能性がありました。現在は暗号化のプロトコルを使用するのが一般的なので、それはなくなりましたが、メールの本文を明示的に暗号化していなければ、サーバ内にあるときに誰かに見られる可能性はあります。機密内容は記さない方が無難です。

HTMLメールは嫌がられることもある

HTML形式のメールは単にHTMLメールとも呼ばれます。 HTMLメールだと見た目が麗しいメールになるので、例えばショップのメールマガジンであればHTMLメールの方が訴求性が高いでしょうし、読んでいても楽しいです。しかし仕事上のやりとりではテキスト形式を用いるのが一般的です。

過去には、メーラーにバグ(不具合)があって、HTMLメールをメーラーが読み込んだだけでウイルスに感染する時代がありました。また、HTMLメールの場合、画像などはURLで指定されていて、メーラーが、そのURLで指定されたインターネット上のどこかにあるコンピューター(HTMLサーバーで、メールサーバーではない)に自動でアクセスして画像データをダウンロードして表示しようとするので、この機能を使って、送ったメールを相手が開封されたかどうかを知ることができるコードを埋め込んで、そのメールを開封した日時やIPアドレスなどの情報を得ることもできます。

こういうこともあって、HTMLメールは嫌われることがあります。

初めて使うメーラーの場合、どういう形式に設定されているかわからないので、まず自分に出してみて、ヘッダ情報を見てメールの形式とか文字コードなどを確認するとよいです。またメーラーによっては、メールの開封を知られないように、HTML形式のメールはすべてテキスト形式に変換して表示する設定もあります。

メールを返信するときの宛先に注意

メーリングリストとは、特定のメールアドレスにメールを送ると、あらかじめ登録されていたメンバー全員にメールが配送される仕組みです。メーリングリストで配送されたメールについて、メールをくれた人だけに返信するつもりが、返信先がメーリングリストのアドレスになっていて、他のメンバー全員に返信メールが配送されてしまう、ということはアルアルです。 届いたメールを返信するときには、メールの「返信」機能を使って返信するのが普通なので、To:フィールドやCc:フィールドは自動的に設定されます。したがって、メーリングリストに限らず複数人に届いたメールに対し、メールを返信する際は、宛先がどうなっているか、誰にそのメールが配送されるのかを意識するようにしましょう。

メールをサーバから削除したほうがいいか

サーバに届いたメールを削除するタイミングはいろいろあります。POPで取ってきたときとか、メーラーでメールを削除したときとか。ずっと削除しないということもやろうと思えば可能です。 ただ、サーバ内で個人に割り当てられた領域(容量)がメールで一杯になると、それ以上メールを受け取れなくなります。受け取れるメールの容量(何通とかではなく何ギガバイトとかです)の上限を確認し、必要に応じてメールを削除するようにしましょう。

チェーンメールは無視

「この情報をできるだけ多くの人に拡散してください」というメールが届くことがありますが、デマも多くあり、慎重になって内容を吟味してください(メールに限らずTwitter等でも同じです)。

Gmailの操作

パソコン上でChromeブラウザを起動してそこからGmailにアクセスしたときの操作について説明します。 (スマホやiPadのGmailアプリは仕様が異なっています。)

Gmailの操作に関しては、GoogleのサイトにGmailヘルプ(外部ページ。クリックすると別タブで開きます)があります。パソコンの他、AndroidやiOSのGmailアプリの説明もあります。

ログイン、ログアウト、設定の変更

パソコン上のブラウザでこの講義資料ページを見ていると思うので、こちら(クリックすると新しいタブで開きます)をクリックすると、(場合によってはログイン手続きをして)Gmailのページが開きます。

Gmailのページ上部は下図のようになっています。

津田塾大学のアカウントでログインすると、上図右側の赤い丸で囲った部分に「津田塾大学」の文字(色は違うことも)が表示されます。その右横はアカウントを示すアイコンで、自分で設定した画像や名前のアルファベット1文字などです。
アカウントを示すアイコンをクリックすることで、ログインしているアカウントを確認できます。一度Googleアカウントにログインすると、しばらくの間、そのブラウザではログイン手続きが省略されます。ログイン中のGoogleアカウントからログアウトするには、このアイコンをクリック→「すべてのアカウントからログアウトする」をクリックします。
設定アイコンは、Gmailに関する各種の設定を変更したいときにクリックします。

また、設定アイコン→「すべての設定を表示」でさらに細かい設定項目を変更することができます。例えば、メールの本文の最後に決まった署名を自動で追加したい場合には、設定アイコン→「すべての設定を表示」→「全般」→「署名」で設定することができます。

テキスト形式でメールを出すように設定する

テキスト形式でメールが出せるようになっているか確認しましょう。一度設定すれば、以降ずっと有効です。

メールを作成して送信する

作成アイコンをクリックして新規メッセージウィンドウが開いている状態で以下の操作をします。

宛先を入力する

「宛先」にメールアドレスを入力します。(これが送信時To:フィールドになります。)

入力が完了したメールアドレスは枠で囲まれます。このとき自動的にメールアドレスが名前に置き変わって表示されることもあります。枠の左端の×ボタンをクリックすると入力した宛先を削除できます。

【複数のメールアドレスを指定するとき】 宛先フィールドで複数のメールアドレスを配送先に指定するには、メールアドレスとメールアドレスの間を半角カンマ(,)で区切る必要があります。しかし、Gmailの場合、メールアドレスを入力していくと自動で半角カンマを補完してくれるので、ユーザが半角カンマを入力する必要はありません。

(必要なら)CcやBccを追加する

「宛先」行内にカーソルがあるときには、右端に「Cc Bcc」と表示される(上図参照)ので追加したいフィールド名をクリックします。 CcやBcc行を追加したものの、実際には誰にもCcあるいはBccでメールで送信しないときは、単に空行にしておきます。追加した行の取り消し操作はありません。
Cc:フィールドやBcc:フィールドにはTo:フィールドと同じアドレスを指定しても大丈夫なので両方自分のアドレスを指定して試してみることもできます。

件名を入力する

全角文字も入力できます。本文の内容がわかる短いフレーズがよいです。

本文を入力する

用件を入力してください。

送信する

「送信」ボタンをクリックして送信します。 普通はそれですぐに送信されますが、Gmailは設定で数秒間送信取り消しの操作を行えるようになっています(自分で変更できます)。

新規メッセージウィンドウ内のボタン等の簡単な説明


メールを読む

メールを読むには以下のようにします。
ウィンドウ左側にある「」(受信トレイ)をクリック → 届いたメールの一覧表示 → 読みたいメールをクリック。
メールの一覧表示の上側にあるボタンをクリックするとサーバにメールが届いたかどうか問い合わせることができて、一覧が最新の状態になります。「更新」の文字は、マウスカーソルを近づけると表示されます。
メールを読んでいる状態から、一覧表示に戻るには以下のようにします。
読んでいるメールの左上にある 「」ボタン(カーソルを持っていくと、「受信トレイに戻る」という表示が出ます。)をクリック。
届いたメールのヘッダー情報を見てみましょう。 メールを読んでいる状態では下図のように右上の方に(カーソルをもっていくと「その他」と表示される)アイコンがあります。それをクリックするとメニューが表示されますので、「メッセージのソースを表示」を選んでください。(下図参照)

「元のメッセージ」というタブが開いてそのページの下方(下図参照)に(メーラーが見やすく処理する前の)メールの中身が表示されます。

例えば、以下のようにフィールドが表示されていたとします。

MIME-Version: 1.0
Date: Wed, 5 May 2022 13:15:23 +0900
Message-ID: <CAK9e7cXrrpBbpd5pAM89sAtse2hJExSQsH0MLRMEgBUB6zVZxQ@mail.gmail.com>
Subject: 情報処理Ia
From: "TSUDA, UMEKO" <ume@tsuda.ac.jp>
To: wisteria@tsuda.ac.jp
Content-Type: text/plain; charset="UTF-8"
Content-Transfer-Encoding: base64

44GT44KM44Gv5paH5a2X44Kz44O844OJ44KS56K66KqN44GZ44KL44Gf44KB44Gu44Oh44O844Or44Gn44GZ44CCDQo=
ここから以下のような情報が得られます。メールアドレス等は例示なので架空です。

メールの返信や転送

メールを読んでいるときに、表示されたメールの下部に以下のようなボタンが表示されます。


「全員に返信」ボタンは、そのメールが複数宛てだった場合に表示されます。宛先が一人だけのメールの場合は表示されません。

「返信」を選ぶと、メール作成ウィンドウが開きますが、このとき、To:フィールドには自動的に、元のメールのFrom:フィールドに指定されているアドレスが入力された状態になっています。またSubject:フィールドの内容も元のメールの件名を参考にして「Re:」が接頭辞としてつけられて自動的に入力されます。

本文部分には、「」が表示されていていて、クリックしてみると読んでいたメールのヘッダ情報の抜粋と本文が予め入力されているのがわかります。 「」より上の部分に自分の内容を入力して「送信」ボタンをクリックするとメールが送信されます。

Bcc:フィールドなどを追加したい場合には、宛先のあたりをクリックすると、返信ウィンドウ右上端の方に「Bcc」の文字が表示されるので、それをクリックすればBcc:フィールドを追加できます。

「全員に返信」ボタンをクリックすると、From:フィールドの宛先の他、元のメールのTo:フィールドやCc:フィールドに記述された(自分以外の)アドレスが返信されるメールの宛先として指定されます。本文を入力して「送信」ボタンをクリックすると、宛先に指定した複数のアドレス宛てにメールが送信されます。

「転送」は、そのメールを第3者に転送するためのボタンです。本文の下の方に、「--------- Forwarded message ---------」という区切り文字列が来て、その下に、読んでいたメールのヘッダ情報の抜粋と本文が予め入力された状態のウィンドウが開きます。 宛先には、そのメールを送りたいアドレスを入力します。本文は、「--------- Forwarded message ---------」より上の部分に記述するのが一般的です。

いずれにしても、書いている途中でメールを出すのをやめて破棄したい場合には、右下の方にゴミ箱のマークがあるので、それをクリックすれば、破棄できます。

提出課題

期限

来週火曜日までです。

提出課題

以下の問いに答えて下さい。Google Classroomの「第3回 提出課題」とあるGoogleフォームに回答を入力して送信することで課題提出となります。

採点基準

次回は


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